化粧品を仕事として世の中に出すには、薬機法という国の法律で決められた許可が要ります。工場で化粧品を作る会社には「化粧品製造業」の許可が、できた化粧品を自分の商品として市場に出し(お店やお客様に向けて出荷し)、品質と安全に責任を持つ会社には「化粧品製造販売業」の許可が要ります。
OEMとは、ほかの会社に自分のブランドの商品を作ってもらうことです。OEMで化粧品を作るときに自分で許可を取る必要があるかどうかは、市場に出す責任を持つ会社(「製造販売元」と呼びます)を、自分とOEM先のどちらが引き受けるかで決まります。
結論
- OEM先が製造販売元を引き受けるなら、自分で許可を取らなくても、自分のブランドの化粧品を売り出せます。
- 自分の会社が製造販売元になるなら、工場を持たずに作ってもらう場合でも、化粧品製造販売業の許可が要ります。
- 化粧品OEMの会社一覧に載っている9社のうち、製造販売元を引き受けると公式サイトに書いていた会社は0社でした。なので、最初の問い合わせで「製造販売元はどちらがなりますか」と聞いてください。
OEM先が製造販売元
- 自分の会社に許可は要らない
- 容器にはOEM先の名前と住所を書く
- 化粧品ごとの届出はOEM先が出す
自分の会社が製造販売元
- 化粧品製造販売業の許可が要る
- 容器には自分の会社の名前と住所を書く
- 化粧品ごとの届出を自分で出す
- 許可は5年ごとに更新する
許可が要るかどうかの分かれ目
化粧品の許可は、「作る」ための許可と、「市場に出す責任を持つ」ための許可の2つに分かれています。自分で工場を持っていなくても、ほかの会社に作らせた化粧品を自分の会社の商品として市場に出すなら、法律では「市場に出す」側として扱われます。
大阪府は、自分の会社が何をするかによって、要る許可を次のように分けて案内しています。
| 自分の会社がすること | 要る許可 |
|---|---|
| 作って、市場にも出す | 製造業と製造販売業 |
| 市場に出す(作るのは他社) | 製造販売業 |
| 作るだけ(出すのは他社) | 製造業 |
OEMで自分のブランドを出すときは、表の2行目の形か、OEM先が製造販売元になる形のどちらかです。OEM先が製造販売元になれば、自分の会社は、OEM先が市場に出した化粧品を仕入れて売る立場になるので、製造販売業の許可は要りません。
自分で許可を取る場合
自分の会社が製造販売元になるなら、許可を取るときだけでなく、取ったあとも次の手続きと体制が続きます。
- 1責任者を置く品質と安全の責任者(総括製造販売責任者)を置きます。なれるのは、薬剤師、または学校で薬学か化学の専門の課程を終えた人などです
- 2管理の仕組みをつくる品質の管理と、売ったあとの安全の管理のやり方を、国の基準に合わせて決めておくことが、許可の条件です
- 3化粧品ごとに届け出る化粧品を1つ出すごとに、前もって都道府県に製造販売届(この化粧品を出しますという届け出)を出します
- 45年ごとに更新する許可は、更新しないと切れます
許可の申請の手数料は都道府県ごとに決まっていて、たとえば三重県は58,800円、沖縄県は74,700円です。責任者になれる人かどうかは、申請の前に、事務所のある都道府県の薬務課(薬や化粧品の許可の窓口)に聞いて確かめられます。
初めての1品なら、OEM先に製造販売元を任せる形で始めると、責任者や管理の仕組みを先にそろえなくてすみます。自分で許可を取るのは、化粧品の数を増やし続ける、いくつかの工場を使い分けるなど、責任者と仕組みを社内に置く理由がはっきりしてからで間に合います。
ただし、あとから製造販売元を自分の会社に移すときは、化粧品ごとの届出を自分の会社で出すことになります。工場を変えるかもしれないなら、契約の前に、製造販売元を移すときの段取りをOEM先に聞いておくと安心です。移すときの届出の流れや、処方・資材の持ち主など契約書で決めておくことは、化粧品OEMの契約書で決めることで確かめられます。
OEM先に任せられること
化粧品OEMの会社一覧に載っている9社の公式サイトを、2026年10月17日に1社ずつ読み、何を引き受けると書いているかを確かめました。
製造販売業の許可を持つと書いている会社は6社ありましたが、「製造販売元として引き受けます」とはっきり書いている会社はありませんでした。許可を持っていることと、自分のブランドの製造販売元を引き受けてくれることは別の話なので、問い合わせで必ず確かめてください。
ほかの仕事については、公式サイトに次のように書かれていました。
| 公式サイトに書いてあること | 会社の数 |
|---|---|
| 処方(中身の配合)から考える | 6社 |
| 薬機法の届出・申請を代わりに行う | 5社 |
| 容器や箱のデザインを提案する | 4社 |
| 容器や箱の表示を作る・確かめる | 3社 |
| ホームページなどの表現も確かめる | 1社 |
中身づくりや届出は、半分ほどの会社が引き受けると書いています。一方で、ホームページやチラシなどの表現まで確かめると書いていたのは1社だけで、それも別料金でした。なので、広告や販売ページの文は、自分の側で確かめるつもりで準備してください。
OEM先に頼むこと
- 処方づくりと試作(ためしに作るサンプル)
- 製造と検査
- 化粧品ごとの届出
- 容器や箱の表示の案
自分ですること
- どんな商品にするかを決める
- 試作品を使って、使い心地を確かめる
- 表示の案を読んで確かめる
- 広告や販売ページの文を書く
- お客様から肌の不調などの連絡があれば、OEM先に伝える
各社が公式サイトに書いている内容とその出典は、化粧品OEMの会社一覧の各社のページで見られます。
最小ロット・費用・期間の聞き方
最小ロット(1回に頼める一番少ない数)を公式サイトに書いている会社は6社で、そのうち100個か100本から頼めると書いている会社は2社でした。料金を載せている会社は1社だけで、それもテスト用の作業など一部の料金です。
なので、費用は見積もりを取って比べることになります。ある会社は、値段が品目・容器・中身の仕様・内容量・数量によって変わると書いているので、この5つを同じ条件にそろえて、2社以上に見積もりを頼んでください。
見積もりを頼むときは、試作や印刷の版(箱やラベルを刷るための型)のように一度だけかかる費用と、中身や容器のように1個ごとにかかる費用を、分けて出してもらうと比べやすくなります。一度だけかかる費用は作る数で割るので、作る数が少ないほど1個あたりの値段が上がるからです。
- 一度だけの費用(10万円÷100個)
- 1,000円
- 1個ごとの費用(中身・容器・箱)
- 500円
※ 同じ条件で1,000個頼むと、一度だけかかる費用は1個あたり100円になり、1個あたりは600円です。
※ 数字は、数え方を説明するための仮のものです。実際の値段は見積もりで確かめてください。
期間の目安を書いている会社は4社でしたが、どこから数えるかは会社ごとに違いました。ある会社は「処方と仕様(容量や容器などの細かい決まり)が決まり、発注して容器などの資材がそろってから1.5〜2か月」と書き、処方づくりには別に半年ほどかかると書いています。
別の会社は「初回の生産は2〜3か月」と書いています。なので、期間を聞くときは、処方づくり・試作・資材の準備・生産のそれぞれに何か月かかるかを分けて聞き、売り出したい日から逆算してください。
- 1製造販売元「製造販売元は御社がなっていただけますか。その場合、容器の表示はどうなりますか」
- 2最小ロットと費用の分け方「最小ロットは何個ですか。一度だけかかる費用と、1個ごとの費用を分けて見積もってください」
- 3期間「処方づくり・試作・資材の準備・生産のそれぞれに、何か月かかりますか」
- 4任せられる範囲「届出、表示の案、デザインのうち、どこまでお願いできますか。別料金のものはどれですか」
容器の表示の見方
化粧品の容器(中身が直接入っている容器か、中身を直接包んでいるもの)には、書かなければならない事項が法律で決まっています。自分のブランド名を大きく出す場合でも、これらの事項は書く必要があります。
容器の裏の表示の見本数字は仮
| 販売名 | 〇〇 モイストローション | ① |
| 全成分 | 水、グリセリン、BG、…… | ② |
| 製造販売元 | 〇〇化粧品(株) 大阪府…… | ③ |
| 発売元 | (自分の会社の名前と住所) | ④ |
| 製造番号 | A1234 | ⑤ |
- ①商品の名前。ローマ字だけの名前や、医薬品・医薬部外品とまぎらわしい名前は使えない
- ②成分は分量の多い順に書く。1%以下の成分と着色剤は、順番を問わない
- ③製造販売業者の名前と住所。OEM先が製造販売元なら、OEM先の名前と住所が入る
- ④自分の会社は「製造販売元」とは書かず、「発売元」として並べて書く
- ⑤製造番号か製造記号を書く