OEMは、ほかの会社に自分のブランドの商品を作ってもらうことです。化粧品では、市場に出す責任を持つ会社を「製造販売元」と呼びます。製造販売元には国の許可が要ります。個人が許可を取らずに自分のブランドを出せるのは、許可を持つOEM先が製造販売元を引き受けるからです。
個人の依頼を受けるOEM先はある?
あります。ただし、受けるかどうかは会社によって違います。公式サイトのよくある質問を、2026年10月27日に5社分読みました。個人の依頼について書いていることを並べると次のとおりです。
| 会社 | 個人の依頼 | 書いてある条件 |
|---|---|---|
| ユニドット | 受ける | 製造販売元が要る |
| E-join | 受ける | 30本から |
| ベル・クール研究所 | 受ける | 販売元に社名を書く |
| トレミー | 記載なし | 500個から |
| アサヌマコーポレーション | 受けない | 法人だけ |
受けると書いていた3社も、条件を添えています。ユニドットは、個人でも化粧品は作れるが、売るには製造販売業許可を持つ製造販売元が要ると書いています。E-joinは、個人事業主やサロン経営者でも問題ないとしています。ベル・クール研究所は、個人事業主でも作れるが、販売元に社名を書く必要があるとしています。
個人について何も書いていない会社もあります。トレミーは、化粧品会社のほか、食品会社・ヘアサロン・エステサロン・アパレルなどから依頼を受けてきたと書いていますが、個人についての記載はありません。こうした会社には、問い合わせの最初に「個人事業主ですが、依頼できますか」と聞いてください。
アサヌマコーポレーションは、法人だけを対象とし、個人の依頼は受けていないとしています。理由は、一定の数より多く作る体制で、処方づくりや見積もりの前に秘密保持契約(NDA)を結ぶ必要があるためです。つまり、数の多い注文と、契約の書類を前提にしている会社では、個人は受けてもらえないことがあります。
ほかの会社の最小ロット(1回に頼める一番少ない数)は、化粧品OEMの会社一覧で、各社の公式サイトの記載から見られます。
受けてもらうために何をそろえる?
個人で頼むときは、製造販売元・表示する名前・作る数・初回のお金の4つを、問い合わせの前に決めておいてください。どれも、OEM先から最初に聞かれやすいことです。
- 製造販売元:OEM先が引き受けるかを聞きます。トレミーは、OEMメーカーが製造販売元になれば、化粧品を売れると書いています
- 表示する名前:ユニドットは、製造販売元を誰が担うかを確かめ、表示に載せる名前もあわせて決めるとしています。屋号(店の名前)で出すか、自分の氏名で出すかを決めておきます
- 作る数:E-joinは30本から、トレミーは500個からと書いています。会社によって、桁が違います
- 初回のお金:E-joinは、初回は20万円からと書いています。ほかの4社は、読んだページに金額を載せていませんでした
秘密保持契約(NDA)は、打ち合わせで出た処方や商品の案を外に出さないという約束の書類です。求められたら、個人の名前で結べるかを先に聞いてください。
許可が無い個人でも売れるのはなぜ?
許可が要るのは、化粧品を市場に出す人と、作る人です。法律は、化粧品を市場に出す会社は、化粧品製造販売業の許可を受けると決めています。完成した化粧品を仕入れて売るだけの人は、許可が要りません。
大阪府は、自社の製品として市場に出し、製造は許可のある他社に頼むなら、化粧品製造販売業の許可が要ると案内しています。自分が市場に出す人になるなら、作るのが他社でも許可が要るということです。一方、三重県は、国内の製造販売業者が市場に出した化粧品を売るだけなら、製造販売業などの許可は要らないと案内しています。
個人がOEMで出すときは、OEM先が製造販売元として市場に出し、自分はそれを仕入れて売る形になります。ベル・クール研究所も、製造販売元の会社が許可を持つので、発売元のお客様が新たに許可を取る必要はないと書いています。
ユニドットは、個人がひとりで許可を取るのは、負担が大きい場合があるとしています。自分で許可を取る道を考えるときは、化粧品製造販売業許可の取り方と必要書類で、人と書類の条件を確かめてください。
OEM先がやること・自分がやること
製造販売元のOEM先は、品質と安全、届出、容器の表示を受け持ちます。自分は、販売ページの表示、広告の言い方、お客様からの連絡の受け付けを受け持ちます。
大阪府の案内では、化粧品製造販売業は、化粧品を国内の市場に出すための許可で、製造販売業者は製品の品質と安全性を確保する責任を負うとされています。容器に書く名前も、製造販売元のものです。薬機法は、容器に製造販売業者の名前と住所を書くよう決めています。
OEM先(製造販売元)がやること
- 化粧品製造販売業の許可を持ち続ける
- 製品の品質と安全性を確保する
- 化粧品を市場に出す前に、製品ごとに製造販売届書を出す
- 容器に、自分(OEM先)の名前と住所を書く
自分(発売元・売主)がやること
- 販売ページに、特定商取引法の表示を書く
- 返品の決まりを決めて、販売ページに書く
- 広告や販売ページで、言ってよい効き目だけを書く
- お客様からの肌の不調などの連絡を、OEM先に伝える
届出は、化粧品を市場に出す前に、製品ごとに製造販売届書を出すという決まりです。届出も製造販売元の仕事なので、自分で出すものはありません。
広告の言い方は、OEM先ではなく自分が書くものです。言える効き目の範囲は、化粧品の広告で言える効き目と言い換え方で確かめてください。
販売ページに書く名前と住所は?
ネットで売るなら、販売ページに事業者の名前(名称)・住所・電話番号を書きます。これは特定商取引法という、通信販売の決まりです。個人の名前は、個人なら戸籍上の氏名か、商業登記簿に載せた商号で書きます。消費者庁は、屋号やサイト名だけでは足りないとしています。
自宅の住所を出したくない人もいます。消費者庁は、条件を満たせば、モールの運営会社やバーチャルオフィスの住所・電話番号を書いてもよいとしています。ただし、この条件には、運営会社が自分の今の住所と自分の名義の電話番号を知っていることなどが入っています。契約する前に、運営会社にこの条件を満たせるかを聞いてください。
返品できるか・返品できる期間などの条件・返品の送料をどちらが払うかは、省略できません。定期便で売るときの書き方は、化粧品通販の特商法表記と定期購入のルールで確かめてください。
製品の欠陥で被害が出たら誰が責任を負う?
作った会社だけとは限りません。製造物責任法は、作った会社のほかに、名前を表示した人も責任を負う人に入れています。
製造物責任法は、次の人も「製造業者等」に入れています。
- 作った者として製品に自分の名前や商標を表示した人や、作った者と思わせる名前を表示した人
- 売り方などの事情から見て、実際に作った者と認められる名前を表示した人
責任を負う中身は、引き渡した製品の欠陥で、人の命・体・財産を傷つけたときの損害の賠償です。容器に「発売元」として自分の名前やブランド名を載せるなら、この条文が自分に関わるかを考えておく必要があります。
なので、欠陥があったときにOEM先と自分のどちらがいくら払うか、契約書に書いてください。決めることの一覧は、化粧品OEMの契約書で決めることにまとまっています。
初回のお金は何本で取り戻せる?
E-joinは、美容オイル100個で約25万円前後を目安として載せています。化粧水ではなく美容オイルの例で、税込か税別かは書かれていません。この数字から1本あたりを出し、仮の値段で売ったときに何本で初回のお金に届くかを計算すると次のとおりです。
- E-joinの公表例
- 美容オイル100個で約25万円前後
- 1本あたり(25万円前後 ÷ 100個)
- 2,500円前後
- 仮に決めた販売価格
- 1本4,800円
- 初回のお金に届く本数(25万円 ÷ 4,800円)
- 52.08…本
※ 送料・決済の手数料・消費税は入れていない。これらを引くと、届く本数は増える
100個作って53本売れるまで、初回のお金は戻りません。自分の店やSNSで、何か月で何本売れそうかを先に考えてください。見積書の項目の読み方は、化粧品OEMの費用と見積書の読み方で確かめられます。
届いた化粧品へのラベル貼りや箱詰めは、法律では「作る」ことに入ります。許可の無い場所ではできないので、OEM先に頼んでください。どの作業が当たるかは、化粧品の小分け・詰め替えに許可は必要?で確かめられます。
次にやること
- 14つを紙に書く製造販売元はOEM先に頼む・表示する名前(氏名か屋号か)・作る数・初回に出せるお金を、1枚にまとめる
- 23社に聞く化粧品OEMの会社一覧で最小ロットを見て選び、「個人事業主ですが依頼できますか。製造販売元は引き受けてもらえますか」と送る
- 3販売ページの表示を書く氏名・住所・電話番号・返品の決まりを、売り出す前に販売ページの下書きに入れる