化粧品製造販売業の許可は、化粧品を自分の会社の商品として市場に出し、その品質と安全に責任を持つための許可です。この許可を取るには、会社の中に3人の責任者(総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者)を置き、品質の管理(GQP)と、売ったあとの安全の管理(GVP)のやり方を、国の基準に合わせて決めておく必要があります。
OEM先に「製造販売元」を任せれば、この許可を取らずに自分のブランドの化粧品を売れます。どちらにするかの決め方は自分のブランドの化粧品をOEMで作るときの許可で確かめられるので、ここでは自分で取ると決めた人の段取りを順に見ていきます。
結論
- 最初に、総括製造販売責任者になれる人を決めます。薬剤師でなくても、化学の学科を卒業した人や、許可を持つ会社で品質管理か安全管理の仕事を3年以上した人などがなれ、同じ事務所で働くなら3人の責任者を1人で兼ねられます。
- 申請は、その責任者が働く事務所のある都道府県に出します。手数料は東京都57,400円、沖縄県74,700円のように県ごとに違い、審査の目安は兵庫県で90日です。
- 審査では事務所の実地調査があり、手順書どおりに仕事ができる状態かを見られます。許可のあとも、商品ごとの届出、変更の届出、記録の保存、5年ごとの更新が続きます。
総括製造販売責任者になれる人
総括製造販売責任者は、品質の管理と安全の管理の両方をまとめる責任者です。なれる人は、国の決まり(医薬品医療機器等法施行規則第85条の2第2項)で次の4つに決まっていて、申請ではどれに当たるかを書類で示します。
| なれる人 | 確かめる書類 |
|---|---|
| 薬剤師 | 免許証(原本も見せる) |
| 薬学・化学の課程を卒業 | 卒業証書など |
| 科目を修め、実務3年以上 | 単位と年数の証明書 |
| 大臣が同等と認めた人 | 県に確かめる |
2行目の「薬学・化学の課程」には、大学の薬学部、工学部などの化学科、高専や工業高校の化学科などを卒業した人が当たると兵庫県の手引きは説明しています。なので、薬剤師がいなくても、化学系の学科を出た人が社内にいれば候補になります。
3行目の「実務3年」は、医薬品・医薬部外品・化粧品の品質管理か安全管理の仕事で、しかも製造販売業の許可を持つ会社での経験に限られます。工場で化粧品を作っていた経験や、お店で化粧品を売っていた経験は、そのままでは数えられない点に気をつけてください。
4行目には、医薬品などの総括製造販売責任者をしたことがある人が当たります。なれるかどうか迷うときは、申請の前に、事務所のある都道府県の薬務課(薬や化粧品の許可の窓口)に書類を見せて確かめられます。
3人の責任者の兼ね方
品質保証責任者は品質の管理の、安全管理責任者は安全の管理の担当です。どちらも、化粧品を売る部門に属さない人にする決まりがあります。
1人で3つを兼ねる
- 同じ所在地で働き、業務に差し支えない範囲なら兼ねられる
- 申請書の備考に、兼ねても差し支えない理由を書く
- その人は、化粧品を売る部門に入れない
3人に分ける
- 品質保証責任者と安全管理責任者は、売る部門の外の人にする
- 3人の関係を、体制図(三役の体制図)で示す
小さな会社では、1人が3つを兼ねる形がよく使われます。ただし、お店の店長のように化粧品を売る部門に入っている人は、品質保証責任者と安全管理責任者になれないので、社内の誰が売る仕事から離れられるかを先に決めておいてください。
品質管理と安全管理で作るもの
GQPとGVPは、どちらも国の省令(大臣が決めるルール)です。GQPは品質の管理のやり方を、GVPは売ったあとに安全に関わる情報を集めて対応するやり方を決めています。
品質の管理(GQP)
- 手順書:品質管理業務手順書を作る
- 責任者:品質保証責任者
- すること:出荷の記録、作る会社の確認、回収
- 記録:作った日から5年保存
安全の管理(GVP)
- 手順書:許可の要件ではないが、作るよう勧める県がある
- 責任者:安全管理責任者
- すること:情報を集め、検討し、対応を決める
- 記録:使わなくなった日から5年保存
品質管理業務手順書に書く手順
GQP省令は、化粧品の製造販売業者に、次の手順を書いた品質管理業務手順書を作るよう求めています。
- 市場への出荷の記録を作る手順
- 作る会社で正しく作られているかを確かめる手順(OEMなら、作る会社はOEM先の工場です)
- 品質の情報や品質の不良を処理する手順
- 回収の手順
- 文書と記録を管理する手順
手順書は作って終わりではなく、そのとおりに仕事をして記録を残すことまでが決まりです。また、手順書は総括製造販売責任者が働く事務所に備え付けておきます。
安全管理で集める情報
GVP省令は、化粧品の製造販売業者に、安全に関わる情報を集めて記録するよう求めています。集める先は、医療関係者からの情報、学会報告・文献報告などの研究報告の情報、厚生労働省などの国、都道府県、PMDAからの情報、外国の政府や会社などからの情報、ほかの製造販売業者などからの情報などです。
兵庫県の手引きは、安全に関わる情報を、具体的にどこから集めるか(文献の名前・見るURLなど)を決めておくよう求めています。なので、「どの文献を、どのホームページを、どのくらいの間隔で見るか」まで書き出しておくと、実地調査で説明しやすくなります。
大阪府は、化粧品の製造販売業では安全管理の手順書は許可の要件ではないと説明したうえで、作るよう勧めています。また、沖縄県のように、申請のときに安全管理の手順書の写しも出すよう求める県もあるので、品質管理と安全管理の両方の手順書を作っておくと安心です。
事務所で決まること
化粧品製造販売業の許可には、工場のような設備は要りません。その代わり、総括製造販売責任者が働く事務所によって、次のことが決まります。
自分の会社に工場が無い場合は、作るのも保管するのもOEM先の工場になります。兵庫県の手引きは、出荷してよいかを決めるときの製品の保管は、製造業の許可を持つ製造所で行うとしているので、出荷してよいかを決めるまで製品をどこに置くかを、OEM先と決めておいてください。
化粧品OEMの会社一覧の9社のうち、化粧品製造業の許可を公式サイトに書いていた会社は6社でした。OEM先と結ぶ品質の取り決めや、回収の費用の分け方は、化粧品OEMの契約書で決めることで確かめられます。
申請書の見方と添える書類
申請書は、厚生労働省が無料で配っている申請ソフト(FD申請ソフト)で作ります。申請の前には、会社と事務所の「業者コード」(申請に使う番号)を、厚生労働省に登録して取っておく必要があります。
化粧品製造販売業許可申請書の見本(FD申請ソフトで作る)数字は仮
| 手数料コード | A0I(実地調査あり) | ① |
| 主たる機能を有する事務所の所在地 | 〇〇県〇〇市〇〇町1-1 | ② |
| 総括製造販売責任者・資格の別 | 施行規則第85条の2第2項第3号 | ③ |
| 業務を行う役員 | 代表取締役 〇〇 〇〇 | ④ |
| 備考 | 総括製造販売責任者は品質保証責任者・安全管理責任者を兼務する | ⑤ |
- ①新しく取るときは、実地調査ありの手数料を選ぶ
- ②総括製造販売責任者が働く事務所。この住所のある都道府県に出す
- ③なれる人の4つのうち、どれに当たるか
- ④薬事に関する業務に責任を持つ役員。組織図にも同じ役員を書く
- ⑤兼ねるときは、兼ねても差し支えない理由もあわせて書く