化粧品の広告・販売ページで言えること/言えないこと|56項目の読み方・言い換えの例・お客様の声と課徴金
化粧品の広告で言ってよい効き目は、薬機法(薬や化粧品について決めた国の法律)にもとづく国の通知で、56項目に決められています。ここでいう広告は、チラシやテレビのコマーシャルだけではありません。お客を呼び込むつもりで、商品名が分かる形で、誰でも見られる場所に出したものなら、自分のブランドの販売ページも、サロンのSNSの投稿も広告として扱われます。
結論
- 化粧品の効き目として言えるのは、56項目の範囲と、化粧くずれを防ぐといった見た目や使い心地の事実だけです。言い換えるときも、意味を広げないでください。
- お客様の声として載せられるのは、使い心地の感想までです。効き目の体験談、医師や美容師のすすめ、効き目を見せる使用前・使用後の写真は載せられません。
- 広告の決まりは、広告を出す人なら誰にでもかかります。違反すると売上の4.5%の課徴金を命じられることがあり、No.1表示やステマ(広告だと隠した宣伝)は景品表示法でも問われます。
販売ページの見本:直すところ数字は仮
| 見出し | 10年前のお肌に! | ① |
| 商品の説明 | 〇〇エキスが肌の奥深くへ届く | ② |
| お客様の声 | 「保湿効果に満足しています。」 | ③ |
| 推薦 | 皮膚科専門医も奨める | ④ |
| バッジ | 顧客満足度No.1 | ⑤ |
- ①若返りや老化を防ぐと受け取れる言い方は使えない。「エイジングケア」は、年齢に合ったお手入れという意味なら使える
- ②しみ込む先は「角質層のすみずみへ」まで(事実の場合)。成分名を目立たせるなら、「肌にうるおいを与える」など配合した目的も書く
- ③効き目の感想は載せられない。「さっぱりとした使い心地」のような、使い心地の感想に替える
- ④医師・美容師・病院・診療所がすすめている、という書き方は、事実であってもできない
- ⑤No.1の根拠にした調査の中身を確かめる。イメージだけを聞いた調査は根拠にならない
56項目の読み方
化粧品で言える効き目の一覧は、使う場所ごとに番号をつけて並んでいます。自分の商品の広告で使えるのは、この中から、商品の種類と使い方に合う項目だけです。
一覧を読むときは、次の3つに気をつけてください。
- 一覧の( )の中は、効き目ではなく、使い方による限定です。たとえば「(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)」は洗顔料の広告でだけ使え、歯の項目の多くは、ブラッシングをして使う歯みがきに限られます。
- (56)の「乾燥による小ジワを目立たなくする」を言えるのは、日本香粧品学会のガイドラインに沿った試験などで、その効き目を確かめた場合だけです。試験をしていない商品では使えません。
- 言葉を少し変えるときは、福岡県の一覧の注が目安になります。「補い保つ」は、「補う」か「保つ」だけにしてもよいとされ、「皮膚」と「肌」は、どちらの言葉を使ってもよいとされています。
一方で、一覧に無い効き目は、言葉をやわらげても言えません。たとえば「ホウレイ線をケア」は、場所を言っているだけに見えても、シワが良くなることをほのめかすので使えないと、東京都の講習会資料に書かれています。
ただし、化粧くずれを防ぐといった見た目の効果や、さっぱりするといった使い心地は、一覧に無くても、事実のとおりなら書けます。OEMで作るときの許可や容器の表示から確かめたいときは、自分のブランドの化粧品をOEMで作るときの許可を先に読んでください。
言い換えの例
東京都の講習会資料には、同じことを言いたいときの、使えない言い方と使える言い方が並んでいます。自分の販売ページの文を直すときは、次の組み合わせを手本にしてください。
言いたいことごとの言い換え(東京都の講習会資料にある言い方)使えない言い方
- ・しみ込む先:肌の奥深くへ
- ・成分:アロエエキス配合の化粧水です
- ・年齢:エイジレス
- ・白さ:肌の色がだんだん明るくなって
- ・におい:皮脂の分泌を抑えてにおいの発生を防ぐ
使える言い方
- ・しみ込む先:角質層のすみずみへ(事実であること)
- ・成分:アロエエキスが肌にうるおいを与えます。
- ・年齢:エイジングケア(年齢に合ったお手入れの意味なら)
- ・白さ:メーキャップ効果により肌を白く見せる
- ・におい:ミントの香りでリフレッシュ
角質層(角層とも言います)は、肌のいちばん外側にある薄い層のことです。化粧品の広告では、角質層より奥へしみ込むことは言えないので、「肌の奥まで」と受け取れる言い方はしないでください。
成分の名前を大きく書くと、その成分が薬のように効くと受け取られやすくなります。なので東京都の資料では、成分を目立たせて書くなら、化粧品で言える効き目の範囲で、配合した目的も書くよう求めています。
白さの言い方で使えるのは、ファンデーションや化粧下地のように、メイクで肌を白く見せる場合です。肌の色そのものが白くなっていくと受け取れる言い方は、化粧品では使えません。
お客様の声と使用前・使用後の写真
お客様の声
国の広告の基準の解説では、愛用者の感謝の言葉や「私も使っています」といった体験談は、効き目の裏付けにならないので載せないとされています。ただし例外があり、化粧品の広告で使い心地を説明する感想は載せられます。その場合も、使い心地だけを特に強調する書き方は避けるよう書かれています。
- 載せられる声の例:「さっぱりとした使い心地で、使用後もべたつきません。」
- 載せられない声の例:「保湿効果に満足しています。」「お肌の状態が明らかに違うことに驚きました。」
サロンやクリニックでお客様からもらった感想を載せるときは、肌がどう変わったかを書いた部分を外し、使い心地を書いた部分だけを残してください。
使用前・使用後の写真
使う前と後の写真は、平成29年(2017年)の基準の改正で、条件つきで使えるようになりました。ただし、使う前と後の写真や図でも、認められた範囲の外の効き目を思わせるもの、効き目が出るまでや続く時間を約束するもの、安全を約束するものは載せられないとされています。
使う前と後の写真・図で、載せられるもの・載せられないもの(厚生労働省のQ&Aと東京都の資料)原則、載せられる
- ・洗顔料などで、汚れた肌と洗ったあとの肌の写真
- ・化粧水やクリームで、乾いた角層と保湿したあとの角層の図
- ・シャンプーで、フケのある頭皮と使ったあとの頭皮の写真
- ・染毛料(髪の表面を染める化粧品)の、使う前と後の色を比べる写真
載せられない
- ・「乾燥による小ジワを目立たなくする」化粧品を使った肌の、使う前と後の写真
- ・「〜を防ぐ」という効き目を、使う前と後の写真で見せるもの
- ・良い印象と悪い印象の写真やイラストを並べて、商品の効果と結びつけるもの
「肌荒れを防ぐ」のような「防ぐ」という効き目は、使う前と後の写真では見せられない、と厚生労働省は説明しています。また、使う前と後の写真でなくても、印象の良い写真と悪い写真を並べて商品の効果と結びつけるものは、同じように扱われます。
医師・美容師のコメント
国の広告の基準では、医師などの医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所などがすすめている、という広告はしないと決めています。解説には、すすめていることが事実でも、載せないという趣旨だと書かれています。
- 東京都の資料で使えないとされている例:「皮膚科専門医も奨める」「○○美容研究所推薦(美容師推薦も同様)」
- 厚生労働省のQ&Aでは、化粧品の広告に「大学との共同研究」とは書けないとされています
この決まりには「病院、診療所」も入っています。なので、クリニックで自分のブランドを売るときも、院長や医師がすすめている化粧品だと受け取れる書き方は避けてください。サロンで「美容師推薦」と書く場合も同じです。
さらに、医師などが効き目を保証したように受け取られる広告は、法律でうそや大げさな広告と同じに扱われます。すすめていないのに、すすめているように書いた場合も、この扱いになります。
SNSとNo.1表示
国の広告の基準は、ウェブサイトやSNSを含む、すべての媒体の広告を対象にしています。広告として扱われるのは、「お客を呼び込むつもりがはっきりしている・商品名が分かる・一般の人が見られる」の3つがそろったものです。なので、自分のアカウントの投稿も、広告と考えて文を確かめてください。
- 会員向けのページ:会員だけがログインして見るページでも、それだけで広告から外れるわけではないとされています
- 紹介する人:法律の「何人も」には、作る会社や売る会社だけでなく、ネットの媒体やアフィリエイターも含むとされています
インフルエンサーに紹介を頼むときは、2つの法律が関わります。薬機法では、紹介する人の投稿も広告の決まりの対象なので、56項目の外の効き目を書いてもらうことはできません。
景品表示法では、2023年10月1日から、広告であることを隠した宣伝(ステマ)が禁止されました。規制の対象は商品を売る事業者(広告主)で、依頼を受けたインフルエンサーは、ステマの規制の対象ではないとされています。つまり、広告だと分からない投稿をしてもらうと、責任を問われるのは頼んだ自分の側です。
No.1表示
国の広告の基準は、「最高のききめ」「無類のききめ」のような一番を名乗る言い方を禁じています。その中で、「売上げNo.1」は、化粧品では禁止の例から外れているので、この基準の上では禁止されていません。ただし、景品表示法の上では、No.1と書くための根拠となる調査が必要です。
消費者庁によると、令和5年度に景品表示法の措置命令(違反をやめさせる命令)を受けた事業者は、44事業者のうち13事業者がNo.1表示に関わるものでした。そして、どの事案も、イメージだけを聞いた調査を根拠に「顧客満足度No.1」などと表示していたといいます。消費者庁は、調査が根拠と認められるには、次の4点を満たす必要があるとしています。
No.1の根拠にする調査で、消費者庁が求める4点- 1比べる相手比べる相手の商品を、きちんと選んでいる
- 2調べる相手調べる相手を、きちんと選んでいる。使った人に聞いたように表示するなら、本当に使った人に聞く
- 3調べ方公平なやり方で調べている。自社の商品を選択肢の一番上に固定するなどしない
- 4表示と結果表示の言葉と調べた結果が合っている
「医師の◯%が推奨」のような表示も、同じ考え方で見られます。消費者庁は、問題となる例として、答えた医師の専門分野が、その商品を評価するのに必要な知識と合っていない場合を挙げています。調査会社にNo.1の調査を頼むときは、質問の文と、比べた相手の商品の一覧を必ず受け取ってください。
課徴金と罰則
化粧品の効き目についてうそや大げさな広告をすると、国は原則として、違反した人に課徴金(違反で得た売上に応じて国に納めさせるお金)を命じます。額は、違反の広告をしていた期間に売った分の代金の4.5%で、期間は最大3年まで数えます。
同じ広告で景品表示法の課徴金も命じられたときは、薬機法の課徴金から売上の3%分が差し引かれます。2つの法律での数え方を、仮の数字で見てみます。
仮の例:販売ページの書き方が違反とされ、その期間の売上が1億円だった仮の数字- 薬機法の課徴金(売上の4.5%)
- 450万円
- 景品表示法の課徴金も命じられたときに差し引く分(売上の3%)
- −300万円
薬機法で納める課徴金150万円
※ 景品表示法の課徴金(売上の3%)の300万円は、これとは別に納めます。
※ 数字は、数え方を説明するための仮のものです。
薬機法では、売上の4.5%で計算した額が225万円に届かないとき、つまり違反の期間の売上が5,000万円より少ないときは、課徴金は命じられません。景品表示法でも、計算した額が150万円に届かないときは命じられません。
課徴金を命じられなくても、ほかの処分はあります。国や都道府県は、違反の広告をやめさせ、くり返さないよう命じることができ、この命令は、広告をすでにやめたあとでも出せます。うそや大げさな広告には、2年以下の拘禁刑か200万円以下の罰金(両方のこともある)という罰則もあります。
なお、違反に自分で気づいて厚生労働大臣に報告したときは、薬機法の課徴金は半分に減らされます。ただし、調査が入ってから命令を見越して報告した場合は減らされません。
景品表示法との関係
化粧品の広告には、薬機法(厚生労働省と都道府県が担当)と景品表示法(消費者庁が担当)の2つの法律がかかります。景品表示法は、化粧品に限らず、商品を実際より良く見せる表示を取り締まる法律なので、同じ1つの文が、両方の法律に同時に触れることもあります。
化粧品の広告にかかる2つの法律薬機法
- ・対象:広告を出す人なら誰でも
- ・見るところ:効き目・作り方・名前のうそや大げさ
- ・課徴金:売上の4.5%
景品表示法
- ・対象:商品を売る事業者
- ・見るところ:中身を、実際よりもとても良いものだと思わせる表示、ステマ
- ・課徴金:売上の3%
景品表示法で気をつけたいのは、効き目の表示について、消費者庁から裏付けの資料を出すよう求められることがある点です。効き目の表示の裏付けの資料を出せないと、不当な表示とみなされるので、「乾燥による小ジワを目立たなくする」や「顧客満足度No.1」と書くなら、そう言える試験や調査の資料を、広告を出す前にそろえておいてください。
出す前に確かめること
化粧品OEMの会社一覧に載っている9社の公式サイトで、表示や広告の確認を引き受けると書いているかを数えました。
会社一覧の9社の公式サイトで「表示・広告の確認」を確かめた結果販売ページなどの表現も確かめると記載1社(別料金)
残りの6社は、表示の確認も広告の確認も、公式サイトに書いていませんでした。OEM先が製造販売元(化粧品を市場に出す責任を持つ会社)になっていても、自分のサロンやクリニックの販売ページ・SNS・店内の案内に書く文は、自分で確かめるつもりで準備してください。表示の案を誰が最後に確かめるか、表示の誤りで回収になったら誰が費用を払うかは、化粧品OEMの契約書で決めることを見ながら、契約で決めておけます。
迷う言い方があるときは、広告を出す前に、事務所のある都道府県の薬務課(薬や化粧品の広告の窓口)に相談できます。たとえば東京都は、都内に本店がある、製造販売業者・製造業者以外の会社(OEM先が作って市場に出した化粧品を、自分のブランドで売るサロンなど)を対象に、予約制で広告の相談を受けています。
今日やること
- 1効き目の文に印をつける販売ページとSNSの投稿から、効き目を言っている文を書き出し、56項目の言葉と1つずつ見比べる
- 2声・写真・推薦を見直す効き目の感想、使う前と後の写真、医師や美容師のすすめ、No.1の表示を外すか、使い心地の感想や根拠のある表示に替える
- 3OEM先に聞く「容器の表示の案に加えて、販売ページの文も見ていただけますか。費用はかかりますか」と聞く