化粧品の肌への安全性の試験|パッチテスト・アレルギーテスト・スティンギングテストの違い、誰が何をするか、「テスト済み」の書き方とOEM先に聞くこと
化粧品の肌への安全性の試験とは、できあがった化粧品やその原料を人の肌に貼ったり塗ったりして、赤み・かゆみ・かぶれが出ないかを確かめる試験です。「パッチテスト」「アレルギーテスト」「スティンギングテスト」はどれも肌の試験ですが、調べるものがそれぞれ違います。
化粧品は、成分の名前を全部表示するなら、売り出す前に国の承認を受けなくてよい商品です。そのかわり、国の通知では、使えない成分や量の上限を決めた「化粧品基準」について、基準に違反しない成分は、企業の責任で安全性を確かめて選び、配合できるとされていて、安全性を確かめる責任は化粧品を市場に出す会社の側にあります。
結論
- 肌への安全性に責任を持つのは、化粧品を市場に出す会社(製造販売元)です。OEM先が製造販売元になるなら、試験を手配して記録を持つのもOEM先なので、どの試験をしたかを書面で出してもらってください。
- パッチテストは肌への刺激、アレルギーテストはくり返し肌に触れたときのかぶれやすさ、スティンギングテストはひりつきやかゆみを調べます。会社一覧の9社のうち、公式サイトに試験の名前まで書いていた会社は0社だったので、問い合わせで聞いて確かめます。
- 「アレルギーテスト済み」と書くなら、キャッチフレーズにはせず、すぐ近くに同じくらいの大きさで「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません」と書き添えます。
安全性の責任と記録
化粧品を市場に出す会社を、製造販売元(製造販売業者)と呼びます。大阪府の手引きでは、化粧品製造販売業は、化粧品を国内の市場に出すための許可で、製造販売業者は製品の品質と安全性を確保する責任を負うとされています。
国の通知では、配合した成分と製品の安全性の資料は、製造(輸入販売)業者が集め、作り、保管するとされています。「製造(輸入販売)業者」は通知が出た平成12年当時の呼び方で、今の製造販売元に当たるので、どの試験をして、その結果の書類を誰が持つかは、製造販売元を誰が引き受けるかで決まります。
製造販売元が誰かで変わることOEM先が製造販売元
- ・どの試験をするかを決め、手配するのはOEM先
- ・試験の記録を集めて持つのもOEM先
- ・自分は、試験の名前と結果を書面でもらう
自分が製造販売元
- ・どの試験をするかを、自分の責任で決める
- ・試験の記録を集めて保管するのも自分
- ・試験の手配をOEM先に頼むなら、費用を見積もりに入れてもらう
売り出したあとも、製造販売元の仕事は続きます。製造販売元は、GVP省令(売ったあとの安全の管理を決めた国の決まり)に沿って、医療関係者からの情報や学会報告・文献報告などの研究報告の情報などを集めて記録し、その記録を使わなくなった日から5年残します。
自分が売り手で、OEM先が製造販売元という形なら、お客様から「肌が赤くなった」と連絡が来たときに、誰がいつOEM先へ伝えるかを決めておいてください。製造販売元を誰が引き受けるかの決め方は自分のブランドの化粧品をOEMで作るときの許可で、連絡や回収の費用の分け方は化粧品OEMの契約書で決めることで確かめられます。
試験の種類と調べること
ある大手の化粧品会社は、製品を売り出す前に人の肌で行う試験を、公式サイトで1つずつ説明しています。名前は似ていても、調べるものと、貼る回数・期間はかなり違います。
3つの試験の違い(ある化粧品会社の説明)パッチテスト
- ・原料や製品をパッチテスト用の絆創膏にのせ、腕の内側や背中に24時間か48時間貼り、はがしたあとの赤みや腫れを見る(肌への刺激を調べる)
アレルギーテスト
- ・背中に3週間で9回(1回24時間)覆って貼り、2週間休んでからもう一度貼って、反応が出るかを見る(アレルギーを起こしやすいかを調べる)
スティンギングテスト
- ・かゆみ・ほてり・ひりつき・痛みのような、使っているときの不快な感覚(スティンギング)を、感覚の刺激に敏感な人の頬に塗って調べる
同じ会社は、ほかにも次の試験を挙げています。
- 使用テスト:ふだんの使い方で一定の期間使ってもらい、肌などに問題が出ないかを確かめる
- コメドジェニックテスト:背中に4週間で12回続けて覆って貼り、ニキビのもと(コメド)ができるかを顕微鏡で見る
- 敏感肌の人のパッチテスト:アトピー性皮膚炎やかぶれにかかったことのある人の協力で、48時間覆って貼るパッチテストをし、皮膚科医が判定する
アレルギーテストのように、何度も貼ってから間をあけてもう一度貼る試験は、資料によって英語の略で「RIPT」と書かれていることがあります。名前で判断せず、何回・何週間貼り、休んでからもう一度貼ったかを、報告書で確かめてください。
国のガイドラインの試験の条件
薬用化粧品(医薬部外品)の承認を受けるときに出す資料について、厚生労働省は試験の進め方のガイドラインを出しています。対象は顔や全身の肌、唇などに、くり返し使う医薬部外品とその有効成分なので、化粧品にそのまま当てはまる決まりではありませんが、試験の報告書でどこを見ればよいかの手がかりになります。
このガイドラインでは、ヒトパッチテストは、肌に使う製品がかぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)の原因になるかを確かめ、成分や製品の肌への刺激を評価する方法と説明されています。また、医薬部外品の肌への刺激を評価するときは、日本皮膚科学会の認定専門医の指導のもとで、試験の条件を決めて行うとされています。
ヒトパッチテストの試験条件の見本(ガイドラインの表1の項目・中身は例)数字は仮
| 対象 | 日本人〇〇例 | ① |
| 投与濃度 | 製品をそのまま | ② |
| 貼布部位 | 上背部 | ③ |
| 観察・評価 | 24時間貼布、除去後2時間・24時間・48時間に判定 | ④ |
- ①何人に貼ったか。ガイドラインでは日本人40例以上
- ②製品そのものを貼ったか、原料だけを貼ったか。原料だけの結果は、製品の結果とは別もの
- ③どこに貼ったか。ガイドラインでは、背中の上のほうの、見た目に異常のない肌に、覆いをして貼る
- ④ガイドラインでは、24時間か48時間貼ってはがし、はがした約2時間後に1回目を見て、はがしてから24時間後・48時間後にも見る。判定は「反応なし」から「大水疱」までの6段階で、皮膚科専門医が、赤み(紅斑)やむくみ(浮腫)などの程度を判定する
ガイドラインでは、観察した日ごとに、貼った場所の肌を写真で記録し、写真でも評価するともされています。なので、報告書をもらうときは、判定の表だけでなく、写真の記録があるかも聞いておくと安心です。
試験を受ける人を守るための決まりもあります。ガイドラインでは、人で試験をするときは、倫理審査委員会の審議と承認、試験を受ける人の書面の同意が欠かせないとされています。
薬用化粧品では、長く使ったときの安全性を見る試験が求められる場合もあります。対象は新しい有効成分を含む医薬部外品で、肌に使い、毎日くり返し使うもので、原則12か月使い、100例以上の安全性のデータを集めるとされています。薬用化粧品の承認の期間と手数料は、薬用化粧品(医薬部外品)をOEMで作るときで確かめられます。
「テスト済み」の書き方
日本化粧品工業会(化粧品の会社の業界団体)の広告のガイドラインには、「アレルギーテスト済み」「ノンコメドジェニックテスト済み」「皮膚刺激性テスト済み」などを表示する場合の決まりがあります。決まりは、キャッチフレーズにしないことと、注意書き(デメリット表示)を、「アレルギーテスト済み」などのすぐ近くに、同じくらいの大きさで目立つように書くことです。
「アレルギーテスト済み」の書き方ガイドラインに合わない書き方
- ・「アレルギーテスト済み」を、見出しやキャッチフレーズにする
- ・注意書きを、ページの下のほうに小さく書く
- ・「赤ちゃんやお年寄り、敏感肌の方にも安心です!」のように、安全を言い切る
ガイドラインに沿った書き方
- ・説明の文の中で、試験をしたことを書く
- ・すぐ近くに、同じくらいの大きさで「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません」と書く
安全を言い切る書き方は、「テスト済み」と書くかどうかに関係なく使えません。ガイドラインでは、具体的な効き目や安全性を挙げて、それが確かだと保証する言い方はできないとされています。
この注意書きは、消費者庁が「打消し表示」と呼ぶものに当たります。打消し表示とは、大きく書いた言葉から、お客様がふつうは予想できない条件や例外を知らせる表示のことで、消費者庁は、大きく書いた言葉は、その商品のすべてに、条件なしで当てはまると受け取られるとしています。
なので、「アレルギーテスト済み」とだけ大きく書くと、誰にもアレルギーが起きないと受け取られるおそれがあります。注意書きがきちんと読まれるかは、文字の大きさ・大きく書いた言葉との文字の大きさの釣り合い・置く場所・背景との見分けやすさなどで判断され、スマートフォンでは、大きく書いた言葉のすぐ隣に打消し表示を置くことも求められています。
注意書きを「RIPT陰性」のような専門の言葉だけで書くのも避けてください。消費者庁は、打消し表示に、外来語や業界の用語、技術の用語が入っていて、お客様が読んでも分からない場合も、問題になるおそれがあるとしています。
ある化粧品会社は、このテストで陰性を確かめた製品に「アレルギーテスト済み」と書くと説明しています。原料メーカーの資料に「パッチテスト済み」とあっても、それは原料の試験なので、製品に「テスト済み」と書くなら、製品そのもので試験したかを確かめてください。
販売ページ全体で言える言い方は化粧品の広告・販売ページで言えること/言えないこと、注意書きの置き方は自分のブランドの化粧品をネットで売るときの決まりで確かめられます。
9社の公式サイトに書いてあること
化粧品OEMの会社一覧に載っている9社の公式サイトを、2026年10月18日に1社ずつ読み、OEMの流れ・よくある質問・品質管理のページで、肌への安全性の試験について何を書いているかを数えました。
会社一覧の9社の公式サイトで「肌への安全性の試験」を確かめた結果
- 試作品の安全性を評価する、または試験すると書いている会社:2社。たとえばある会社は、試作品の評価と並行して、製品の安全性評価をすると書いています
- 安定性試験(時間がたっても中身が変わらないかを見る試験で、肌の試験とは別のもの)を書いている会社:4社
- 試作は基本的に無償だが、モニターテスト用など数の多い試作は有償になることがあると書いている会社:2社
安全性について書いていない7社も、試験をしないとは限りません。ただし、試験の名前・費用・期間・人数はどの会社も書いていなかったので、候補の会社には次の文面で聞いて、答えを並べて比べてください。
候補の会社は、化粧品OEMの会社一覧の各社のページで、公式サイトの原文と出典を見てから選べます。候補を3社に絞る手順と、同じ文面で問い合わせる方法は、化粧品OEMの会社の選び方で確かめられます。
OEM先に聞くこと
安全性の試験について聞くメールの見本数字は仮
| 件名 | 化粧水の試作品の安全性の試験について(〇〇サロン) | |
| 製造販売元 | 製造販売元は御社で、試験の記録も御社で保管いただく形でよいですか | ① |
| 試験の名前 | どの試験をしますか。パッチテスト・アレルギーテストなどの名前と、貼る回数・期間を教えてください | ② |
| 実施と判定 | 社内でしますか、外部の試験機関に頼みますか。判定はどなたがしますか | ③ |
| 人数と書類 | 何人に試し、結果の報告書の写しをいただけますか | ④ |
| 費用と期間 | 費用は見積もりのどの行に入り、何週間かかりますか | ⑤ |
| 表示 | 「アレルギーテスト済み」と書きたい場合、製品そのもので試験しますか | ⑥ |
- ①製造販売元を引き受けるかと、記録を誰が持つかを最初に聞く
- ②名前だけでなく回数と期間を聞く。ある会社の説明では、アレルギーテストは背中に3週間で9回(1回24時間)覆って貼り、2週間休んでからもう一度貼って、反応が出るかを見る(アレルギーを起こしやすいかを調べる)
- ③試験をした所と、判定した人の資格を聞く
- ④自分が製造販売元なら、報告書は自分で保管する資料になる
- ⑤試験の期間は、発売日から逆算して予定に入れる
- ⑥原料の試験の結果では、製品に「テスト済み」と書く根拠にならない
答えが返ってきたら、試験の名前・回数と期間・人数・報告書の有無が、具体的に書いてあるかを見てください。「安全性は確認済みです」だけの返事なら、どの試験で確かめたかを聞き返します。
問い合わせから納品までのどこで試験の期間が入るかは、化粧品OEMの流れと期間で確かめられます。
今日やること
- 1製造販売元を確かめるOEM先に「製造販売元は御社で、安全性の試験の記録も御社で保管いただけますか」と聞く
- 2試験の中身を聞く「製品そのもので、どの試験を、何人に、何週間かけてしますか。報告書の写しはいただけますか。費用は見積もりのどこに入りますか」と送る
- 3表示の案を作る「テスト済み」と書くなら、すぐ近くに同じ大きさで「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません」と入れた案を作り、OEM先に見てもらう