「薬用化粧品」は、法律では化粧品ではなく「医薬部外品」に分かれる商品です。にきびを防ぐ、かみそりまけを防ぐといった効き目のもとになる成分(有効成分)を入れ、その効き目を国が商品ごとに確かめて認めたもの(承認したもの)だけを、「薬用」として売り出せます。
ふつうの化粧品なら、市場に出す前に都道府県へ届け出るだけで売り出せます。一方で薬用化粧品は、届け出ではなく国の承認が要るので、OEMで作るときも「承認を誰の名前で取るか」と「承認が下りるまでの時間」を最初に決めておく必要があります。
結論
- 薬用化粧品は、商品ごとに国の承認を受けてから売り出します。承認は申請した会社(製造販売元)の名前で出るので、OEM先が製造販売元なら、承認もOEM先のものになります。
- 国の側の審査期間は、PMDAの資料で4.5か月(申請の7割が収まる期間)です。国とPMDAに納める手数料は、これまでに承認されたものと同じ中身なら合わせて121,300円で、違いが大きいほど高くなります。
- 化粧品OEMの会社一覧の9社のうち、医薬部外品の製造販売業の許可を公式サイトに書いていたのは6社でした。最初の問い合わせで「承認済みの処方はありますか」「承認は誰の名前で取りますか」と聞いてください。
化粧品
- 市場に出す前に、都道府県へ届け出る
- 言える効き目は、決められた56項目の範囲
- 化粧品の許可で作り、市場に出せる
薬用化粧品(医薬部外品)
- 商品ごとに国の承認を受ける(審査はPMDA)
- 言える効き目は、その商品で承認された範囲
- 容器に「医薬部外品」と書く
- 医薬部外品の許可が要る
承認は誰の名前で出るか
薬用化粧品の承認は、その商品を市場に出す会社(製造販売元)が申請して受けます。ただし、申請する会社が医薬部外品の製造販売業の許可を持っていなければ、承認は出ません。
なので、自分の会社がこの許可を持っていないなら、OEM先が製造販売元として申請し、OEM先の名前で承認を受ける形になります。自分の会社は、OEM先が市場に出した商品を、発売元として自分のブランドで売る立場です。
あとでOEM先を変えたいときや、自分の会社が製造販売元になりたいときは、この承認をどうするかが問題になります。法律では、承認を持つ会社が、その商品の資料を譲り渡せば、譲り受けた会社が承認を引き継げると決まっています。
ただし、資料を譲り渡すかどうかはOEM先しだいです。なので、承認の資料を渡してもらえるか、渡してもらうならいくらかかるかを、契約の前にOEM先に聞き、契約書に書いておいてください。
処方の持ち主や、製造販売元を移すときの段取りは、化粧品OEMの契約書で決めることで確かめられます。
自分の会社が製造販売元になるなら
自分の会社の名前で承認を取るなら、先に医薬部外品の製造販売業の許可を取ります。化粧品製造販売業の許可では薬用化粧品は扱えないので、化粧品の許可を持っていても、医薬部外品の許可は別に取る必要があります。
許可の申請の手数料は都道府県ごとに決まっていて、たとえば東京都は57,400円(化粧品製造販売業の許可と同じ額)です。製造販売元を自分で引き受けるかどうかの考え方は、自分のブランドの化粧品をOEMで作るときの許可で確かめられます。
承認にかかる期間
薬用化粧品の承認は国(厚生労働大臣)が出し、審査はPMDA(医薬品や医薬部外品の審査をする国の機関)が行います。審査のあいだ、PMDAから申請書の中身について質問(照会)が届き、答えるとまた次の質問が来る、というやりとりを質問が無くなるまで続けます。
PMDAの資料では、国の側で審査にかかる期間を4.5か月としています。これは申請の7割が収まる期間で、OEM先が質問に答えるのにかかる日数は入っていません。
なので、承認を待つ期間は「4.5か月+質問に答える日数」と考えてください。そのうえで、申請の前の処方づくりや試験と、承認のあとの容器づくりや製造の期間も足して、売り出したい日から逆算すると安心です。化粧品で問い合わせから納品までにかかる段階は、化粧品OEMの流れと期間で確かめられます。
申請の前には、申請書の書き方などをPMDAに聞ける「簡易相談」も受けられます。初めての処方で申請するなら、簡易相談を使うかどうかもOEM先に聞いておくと、質問のやりとりを減らす手がかりになります。
承認の手数料
承認の手数料は、国に納める分と、審査をするPMDAに納める分の2つです。PMDAに納める分は、作る商品が、これまでに承認された医薬部外品(前例)とどれだけ違うかによって、3段階に分かれています。
| 前例との違い | 国 | PMDA |
|---|---|---|
| 有効成分が新しい | 21,400円 | 4,069,100円 |
| 量や成分などが違う | 21,400円 | 388,300円 |
| 前例と同じ | 21,400円 | 99,900円 |
2行目は、形・有効成分の量・有効成分以外の成分・効き目・使い方のどれかが前例と違うものです。どの段階になるかは処方で決まるので、OEM先に「この処方は、手数料のどの区分で申請しますか」と聞いてください。
- 国に納める手数料
- 21,400円
- PMDAに納める審査の手数料
- 99,900円
※ 同じ計算で、2行目の区分なら合わせて409,700円、有効成分が新しいなら4,090,500円になります。
※ 試験や申請書づくりをOEM先などに頼む費用は、この手数料とは別にかかります。
手数料を納めるのは申請する製造販売元です。なので、OEM先が申請するなら、この手数料と、申請書づくりの費用が見積もりのどこに入っているかを確かめてください。
言える効き目
薬用化粧品の広告で言えるのは、その商品について承認された効き目です。承認される効き目には、化粧水・クリーム・シャンプーといった種類ごとの目安があり、化粧品と比べると次のような違いがあります。
| 言い方 | 化粧品 | 薬用 |
|---|---|---|
| かみそりまけを防ぐ。 | 不可 | 承認で可 |
| 日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。 | 不可 | 承認で可 |
| メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ | 不可 | 承認で可 |
| 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 | 可 | 承認で可 |
4行目のように、化粧品でも言える効き目があります。化粧品の56項目にある言い方で足りるなら、承認の要らない化粧品で作るほうが早く出せるので、言いたい一言が化粧品の一覧に無いかを、化粧品の広告・販売ページで言えること/言えないことで先に確かめてください。
また薬用化粧品でも、決まりを守れば、化粧品の効き目のうち商品の種類に合うものを、承認された効き目とあわせて書けます。そのときは、化粧品の効き目として書いた部分を、承認された効き目だと思わせない書き方にしてください。
広告の決まりは、商品を市場に出す会社だけでなく、誰にでもかかります。なので、OEM先が製造販売元でも、自分のサロンやクリニックの販売ページ・SNSに書く文は、自分で確かめる必要があります。
容器の表示
薬用化粧品の容器には、化粧品とは別の条文で、書かなければならない事項が決まっています。いちばん目に見える違いは、容器に「医薬部外品」と書くことです。
薬用化粧水の容器の裏の見本数字は仮
| 販売名 | 〇〇 薬用ローション | ① |
| 種類 | 医薬部外品 | ② |
| 製造販売元 | 〇〇化粧品(株) 大阪府…… | ③ |
| 発売元 | (自分の会社の名前と住所) | ④ |
- ①承認書に書かれた販売名。広告で愛称を使うときも、この販売名をあわせて書く
- ②「医薬部外品」の文字は、法律で書くことが決まっている
- ③製造販売業者の名前と住所も、法律で書くことが決まっている。承認を持つ会社(OEM先など)が入る
- ④自分の会社は「製造販売元」とは書かず、「発売元」として並べて書く