化粧品のOEMとは、自分のブランドの化粧品を、化粧品を作る許可を持つほかの会社(OEM先)に作ってもらうことです。OEM先は、中身の配合(処方)を考えて試作し、容器に詰め、検査をして、できあがった化粧品を届けてくれます。
一方で、どんな化粧品にするか、どの試作品で決めるか、どの容器にするか、いつまでに何個ほしいかは、頼む側が決めます。なので、流れの全体を先に知っておくと、どの段階で何を決めればよいかが分かり、発売したい日から逆算して動けます。
結論
- 流れは、問い合わせ→打ち合わせ→処方開発・試作→容器・デザイン→見積もり・契約→届出→製造→検査・出荷判定→納品の9段階です。処方と容器は、同時に進みます。
- 期間は会社ごとに違います。会社一覧の9社のうち、期間の目安を公式サイトに書いている会社は4社で、工程ごとの目安まで書いている会社は1社でした。なので、最初の問い合わせで、段階ごとの期間を聞いてください。
- 届出(製造販売届)は、化粧品を市場に出す責任を持つ会社(製造販売元)が、売り出す前に出します。容器や箱は、届出が受け付けられたのを確かめてから刷ると、刷り直しを避けられます。
段階ごとに決めること
化粧品OEMの会社一覧に載っている9社の公式サイトを、2026年10月18日に1社ずつ読み、問い合わせから納品までの流れを載せているかを確かめました。流れを載せていたのは8社で、工程の数は5〜8と会社によって違いますが、並べ直すと次の9段階に収まります。
| 段階 | 自分が決めること | OEM先がすること |
|---|---|---|
| 問い合わせ | 品目・数・時期 | 作れるか答える |
| 打ち合わせ | コンセプト・予算 | 提案する |
| 処方開発・試作 | 試作品の採用 | 試作と改良 |
| 容器・デザイン | 容器・デザイン | 候補を出す |
| 見積もり・契約 | 仕様の確定 | 正式な見積もり |
| 届出 | 販売名 | 製造販売元が届け出る |
| 製造 | 立ち会うか | 原料と資材の手配 |
| 検査・出荷判定 | 納品先 | 検査と出荷の判定 |
| 納品 | 受け取り | 指定の場所へ届ける |
表の「届出」と「検査・出荷判定」は、OEM先が製造販売元を引き受ける形を前提にしています。製造販売元を自分の会社が引き受けるなら、届出と出荷判定は自分の仕事になるので、どちらが引き受けるかを最初の問い合わせで決めてください。決め方は、自分のブランドの化粧品をOEMで作るときの許可で確かめられます。
問い合わせと打ち合わせ
最初の問い合わせは、細かい仕様が決まっていなくても送れます。ただし、OEM先が「作れるか」「いくらか」を考えるために要る情報があるので、次の項目を書いて送ると、返事が早く返ってきます。
- 1品目と数化粧水・クリームなどの種類と、1回に作りたい数
- 2発売したい時期売り出したい月。OEM先はここから逆算して段取りを組む
- 3中身のイメージ参考にしたい市販品や、入れたい成分、使い心地
- 4製造販売元「製造販売元は御社がなっていただけますか」
ある会社は、打ち合わせの前に品目(使用目的)・希望するロット数・商品のコンセプト・販売ルート・発売時期の目安・中身(バルク)のイメージを整理しておくと話が早いと書いています。発売時期を先に伝えるのは、資材の手配や試作の回数が、発売時期から逆算して決まるからです。
打ち合わせでは、OEM先から処方の方向や容器の候補が提案されます。このとき、化粧品では言えない効き目(しみが消える、など)をコンセプトにしていると、あとで広告の文が書けなくなります。言える範囲は、化粧品の広告・販売ページで言えること/言えないことで先に確かめておいてください。
処方開発と試作
処方とは、どの原料をどれだけ入れるかという中身の配合のことです。9社のうち、処方をゼロから考えると公式サイトに書いている会社は6社で、OEM先がもともと持っている処方(既存の処方)をもとに作る形も選べます。
試作品(ためしに作るサンプル)は、改良を重ねて最終の処方に仕上げます。試作について公式サイトに書いてあることを数えると、次のとおりでした。
| 公式サイトに書いてあること | 会社の数 |
|---|---|
| 試作は無償・無料 | 3社 |
| 試作品ができるまでの期間 | 2社 |
| 安定性や相性の試験をする | 5社 |
無償と書いている会社も、条件を添えています。ある会社は本生産を前提にした試作品づくりは無償としていて、別の会社は試作品や処方の方向性を確かめるためのサンプルは無償(一部の原料は有償)としています。試作品ができるまでの期間は、ある会社が約3週間、別の会社が最短3日と書いていて、ここも会社で大きく違います。
試作品を受け取ったら、使い心地だけでなく、入れた成分が化粧品に使えるものか、容器に入れて時間がたっても変わらないかを、OEM先と一緒に確かめます。使えない成分の決まりと、試作で確かめることは、化粧品に使えない成分と、処方づくりの進め方で確かめられます。
処方が誰のものになるかは、契約書で決めないと決まりません。とくにOEM先がもともと持っていた処方をもとに作るなら、何も決めなければOEM先のものと考えておいてください。決め方は、化粧品OEMの契約書で決めることで確かめられます。
容器とデザイン
容器・ポンプ・外箱・ラベルといった資材は、処方と並行して決めます。9社のうち、資材の手配を引き受けると書いている会社は6社で、ある会社は資材とデザインの提案に約3か月を見込んでいます。
処方が決まってから容器を選ぶ
- 試作品を本番の容器に入れて、相性を確かめられる
- 相性の結果を見てから、容器を発注できる
- 容器の候補出しは、処方づくりと同時に始めておく
容器を先に決めて買う
- 中身を入れたあとに、変形や漏れが出ても戻せない
- 製造販売元の名前を刷り込むと、OEM先を変えたときに使えない
- 届出で販売名が変わると、刷り直しになる
資材の種類、印刷の方法、相性の確かめ方、外箱に書くことは、化粧品の容器・箱・ラベルの選び方で確かめられます。容器に書く事項の見本は、自分のブランドの化粧品をOEMで作るときの許可の「容器の表示の見方」にあります。
見積もりと契約
正式な見積もりは、処方と容器と数が決まってから出ます。ある会社は、値段が品目・容器・中身の仕様・内容量・数量によって変わると書いているので、この5つをそろえてから、2社以上に同じ条件で見積もりを頼んでください。
見積もりを比べるときは、試作や印刷の版のように一度だけかかる費用と、中身や容器のように1個ごとにかかる費用を、分けて出してもらいます。分け方と1個あたりの値段の出し方は自分のブランドの化粧品をOEMで作るときの許可の「最小ロット・費用・期間の聞き方」で、見積書に並ぶ項目の読み方は化粧品OEMの費用の内訳と見積書の読み方で確かめられます。
- 1処方の持ち主OEM先のものか、自分のものか。引き取るなら対価と渡してもらう資料
- 2最小ロットと2回目以降1回目の数と、2回目以降に頼める数・値段の決め方
- 3余った資材余った容器や箱が誰のもので、どこに置くか
- 4回収の費用中身の不良・表示の間違い・広告のどれが原因でも、誰が払うか
9社のうち、契約書を交わしてから注文する流れを公式サイトに書いていた会社は1社でした。契約書の案は、見積もりと一緒に早めに出してもらってください。項目ごとの確かめ方は、化粧品OEMの契約書で決めることで確かめられます。
届出(製造販売届)
化粧品は、商品ごとに国の承認を受ける必要はありませんが、市場に出す前に、製造販売元が都道府県へ「この化粧品を出します」という届出(製造販売届)を出します。大阪府は、化粧品を市場に出す前に、製品ごとに製造販売届書を出すと案内し、届出の内容に不備がなければ、受け付けられたときから有効になるとしています。
9社のうち、届出を代わりに行うと公式サイトに書いている会社は5社でした。OEM先が製造販売元なら、届出はOEM先の仕事です。自分の会社が製造販売元になる場合は、化粧品製造販売業の許可を自分で取る段取りで、許可を取ってから自分で出します。
化粧品製造販売届書の見本:書く欄数字は仮
| 製造販売業の許可の種類 | 化粧品製造販売業許可 | ① |
| 販売名 | 〇〇 モイストローション | ② |
| 製造方法 | A製造所:秤量〜充填、B製造所:包装・表示・保管 | ③ |
| 成分及び分量又は本質 | 記載省略 | ④ |
| 製造販売する品目の製造所 | 〇〇化粧品(株)△△工場 | ⑤ |
- ①製造販売元の許可の種類。OEM先が製造販売元なら、OEM先の許可
- ②容器に書く商品の名前。違う処方の製品に、同じ販売名は使わない(シリーズ商品を除く)。ローマ字だけの名前や、医薬品とまぎらわしい名前も使えない
- ③「製造方法」の欄には、製造所ごとに、受け持つ製造工程の範囲を短く書く
- ④成分と分量・用法用量・効能効果・貯蔵方法と有効期間・規格と試験方法の欄は「記載省略」でよい。処方そのものは届け出ない
- ⑤製造業の許可を受けた製造所を、すべて書く