化粧品OEM比較

化粧品OEMの既存処方とオリジナル処方の選び方

処方とは、どの原料をどれだけ入れるかという中身の配合です。OEM先がすでに作ってある処方を「既存処方」と呼びます。「ストック処方」「ODM処方」と呼ぶ会社もあります。呼び方は会社ごとに違うので、言葉より「中身のどこを変えられるか」で比べてください。OEMとODMという呼び名の違いと、企画・処方・届出を誰が受け持つかは、化粧品OEMとODMの違いと企画・処方・容器の分担で確かめられます。

問い合わせから納品までの段取りは化粧品OEMの流れと納品までの期間にまとめています。ここでは、中身の作り方の選び方に絞ります。

既存処方では、どこまで変えられる?

変えられる範囲を表で公開している会社に、ORIZI Groupがあります。同社はマレーシアのOEMメーカーで、すぐにブランド化できる処方を797件載せているとしています。中身の扱いで3つの形に分けています。

同社の形 変えられる範囲(公式の記載)
処方は変えない形 処方は変えず、ブランド・ラベル・パッケージを変える
既存処方を調整する形 既存処方をもとに、香り・色・テクスチャー・アクティブ成分・訴求を調整する
中身から作る形 処方はお客様向けに開発するかお客様の処方で、変更できる範囲はすべて

つまり、既存処方にも2段階あります。ラベルと箱だけを変える段階と、香りや色まで変える段階です。どちらで頼むのかを、最初の問い合わせで言葉にしてください。

ORIZIの工場はマレーシアです。日本で売るなら、輸入する会社が必要です。福岡県の案内では、化粧品を作ったり輸入したりして売るには、化粧品の製造業と製造販売業の許可が必要とされています。誰が製造販売元(市場に出す責任を持つ会社)になるかは、化粧品OEMに必要な許可と製造販売元の決め方で確かめられます。

国内の会社の案内では、変えられる範囲に条件が付いています。

  • ノエノラボは、試作品の費用は基本的に取らないが、高い原料や香料の変更には制限があると書いています。香りを変えたいなら、変えられる香料の範囲を先に聞きます。
  • Q美ワールドは、メーカーに在庫のある容器を使い、オーソドックスな処方で進めるなら最低1,000個からとしています。一方で、容器の着色・オリジナルの形・特殊な原料が入ると最低3,000個からと書いています。
  • ホシケミカルズは、既存の処方と容器を使う場合と、フルオーダーとでは費用が違い、ロット数・処方・容器の仕様で変わると答えています。

変えるほど、既存処方の「早い・少ない数」という利点は小さくなります。ラベルだけを変えるなら既存処方のままで足ります。香り・色・使い心地まで大きく変えたいなら、オリジナル処方の見積もりも並べて取ってください。

全成分の表示では、香りづけに使う香料は、成分名を「香料」と書いてよいとされています。ただし香りを変えても、表示を作り直さなくてよいとは限りません。香料以外の原料も動くことがあるからです。変えたあとの全成分の一覧をOEM先に出してもらってください。

費用と期間は、どう違う?

ORIZIは、既存処方を調整する形と、中身から作る形で、目安を分けて書いています。

項目(同社の記載) 既存処方を調整 中身から作る
サンプル 数日 数週間(通常2〜3回)
最小ロット 500個から 実現できるかを検討したあとに見積もり
発売までの期間 約1〜3か月 約3〜6か月

この期間は同社の案内の目安です。日本で売るなら、輸入と日本語の表示の段取りも加えて聞いてください。

国内の会社では、ホシケミカルズが試作について書いています。打ち合わせで詳細を決めてから試作の提出まで約3週間。処方が決まったあとはアイテムや仕様で異なるとしています。試作は、決まった数のサンプルなら試作は基本無償で、特殊な原料や大量の試作は別に費用がかかる場合があるとのことです。同社は、オリジナル処方の開発や処方の提案ができるとも答えています。

費用は、中身だけでは決まりません。同社は、製版代・型代などの初期費用が別に要る場合があるとしています。容器に印刷する場合も同じです。ノエノラボは、ラベル貼りなら、デザインを渡してから最短3週間(100本の場合)と書いています。一方で、容器に印刷すると約3か月かかるとしています。

既存処方でも、容器に印刷すれば月単位で延びます。急ぐなら、ラベル貼りで始められるかを聞いてください。容器や箱の選び方は、化粧品OEMの容器・箱・ラベルの選び方で確かめられます。

例:仮に月50個売れる見込みで、最低数が変わる場合仮の数字
在庫の容器と標準的な処方
最低1,000個(Q美ワールドの公式の記載)
容器の着色・オリジナルの形・特殊な原料
最低3,000個(同じ会社の記載)
仮の売れる数
月50個
売り切るまで1,000個なら20か月、3,000個なら60か月

※ 月50個は仮の数です。売り切るまでの月数が、品質を保てる期間に収まるかもOEM先に聞いてください。

計算のとおり、仕様を変えると在庫を抱える期間が延びます。売れる数の見込みが立たないうちは、在庫の容器と既存処方で始める判断ができます。

試験と承認は、どこで差がつく?

中身を新しく作ると、品質が変わらないかを確かめる試験が要ります。オリオン粧品工業は、安定性試験(時間がたっても中身が変わらないかを見る試験)の目安を中身が決まってから約3か月としています。ORIZIも、出荷前に安定性・適合性・微生物・品質の試験をするとしています。

日焼け止めと薬用化粧品は、とくに差が大きくなります。

  • 日焼け止め:ホシケミカルズは、SPF・PA値のデータを取るには検査費用がかかり、データを取得済みのODM処方も複数あるとしています。オリオン粧品工業も、日焼け止めの開発にはふつう決まった試験が要るが、SPF・PAを測定済みの処方なら、費用を抑えて自分のブランドの品にできると書いています。
  • 薬用化粧品(医薬部外品):ホシケミカルズは、医薬部外品のOEMはできるが申請・承認に約1年かかり、急ぐなら承認済みのODM処方をすすめているとしています。また、抗炎症・ニキビケア・美白などの医薬部外品の処方をそろえ、最短での商品化ができるとのことです。コスモビューティーは、新たな申請なしで立ち上げられる医薬部外品の処方を460品目そろえていると書いています。

医薬部外品は、商品ごとに国の承認が要ります。PMDAの資料では、国の側の審査期間が4.5か月です。ここに申請の準備と、照会に答える時間が足されます。手数料と承認の名義は、薬用化粧品OEMの承認と費用・期間の確かめ方で確かめられます。SPFの測り方と表示は、日焼け止めOEMのSPF・PAと表示の決め方にあります。

既存処方の香りや容器を変えたときも、試験が要らないとは限りません。「この変更で、試験をやり直しますか。費用はいくらですか」と聞いてください。

処方は誰のものになる?

既存処方は、もともとOEM先が作った中身です。国の製造委託の契約書ひな形では、契約の前からそれぞれが持っていた秘密の情報や知的財産権は、持っていた側のものとされています。何も決めなければ、既存処方はOEM先のものと考えてください。

公式サイトで権利の書き方を比べると、次のとおりでした。並び順に意味はありません。

会社 公式の記載 契約前に聞くこと
ORIZI 処方の所有権は、開発を始める前に書面で取り決める 調整した版をほかで売るか
ホシケミカルズ よくある質問に記載なし 新しく作った処方の持ち主

ホシケミカルズのように権利を書いていない会社には、もう1つ聞きます。「工場を変えるとき、配合表や試験の資料をもらえますか」です。

ORIZIは、既存処方を調整する形について、もとの処方はほかのブランドも売れ、調整した版は契約に従うとしています。同じ土台の中身を、ほかのブランドが売ることもあるわけです。中身で差をつけたいなら、既存処方では足りないかもしれません。

あとで別の工場に移したいときも、資料があれば済むとは限りません。ホシケミカルズは、持ち込んだ処方で作る依頼は、処方の内容を確かめてから作れるかを判断すると答えています。移した先でも、作れるかを確かめるところから始まります。

処方を引き取りたいなら、見積もりの段階で伝えます。国の指針には、権利を譲る場合と譲らない場合の2通りの見積書を出し、権利の対価をはっきりさせている会社の例が載っています。処方でも、「引き取る場合」と「引き取らない場合」の2通りで見積もりを頼めます。契約書の書き方は、化粧品OEMの契約書で決めることで確かめられます。

自分の場合は、どちらを選ぶ?

既存処方とオリジナル処方の選び分け

既存処方が合う

  • 初めての商品で、売れる数がまだ読めない
  • ラベルや箱、香りの調整で差をつけられる
  • 日焼け止めや薬用で、試験や承認を待てない

オリジナル処方が合う

  • 中身の使い心地や成分で差をつけたい
  • 同じ中身をほかのブランドに使わせたくない
  • あとで工場を移すため、処方を引き取りたい

迷うなら、既存処方で売れる数を確かめてから、2回目以降に中身を作り直す道もあります。ただし兵庫県の手引きでは、違う処方の製品に、同じ販売名は使わない(シリーズ商品を除く)とされています。作り直すなら、商品名を変えるかを先にOEM先と決めてください。

次にやること

  1. 1変えたい範囲を書くラベルと箱だけか、香り・色・使い心地までか、成分から作るかを1行で書く
  2. 2候補に同じ文面で聞く化粧品OEMの会社一覧から品目の合う会社を選び、「既存処方で変えられる範囲と最低数、オリジナル処方の試作回数と期間と試験の費用を教えてください」と送る
  3. 3権利を2通りで見積もる「処方を引き取る場合と引き取らない場合、ほかのブランドに同じ中身を使わない場合」の条件を、契約書の案と一緒に出してもらう

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出典