化粧品OEM比較

日焼け止めをOEMで作るとき|SPF・PAの測り方と表示の決め方・UV耐水性と「ウォータープルーフ」・紫外線吸収剤の上限・言える効き目

日焼け止めの容器に書かれている「SPF」と「PA」は、紫外線を防ぐ効果の強さを表す目安です。SPFは主に肌を赤くする紫外線(UVB)を、PAは肌を黒くする紫外線(UVA)を、どれだけ防ぐかを表しています。

この数字は、作る側が好きに決めて書けるものではありません。日本化粧品工業会(化粧品の会社がつくる業界団体)が決めた方法で、できあがった日焼け止めを人の肌に塗って測り、その結果から決まります。この決まりは法律ではなく業界の自主基準ですが、国の行政も事実上の基準として扱っているので、OEMで作るときも、この決まりに沿って測って書くことになります。

結論

  • SPFとPAは、人の肌に塗って測った結果で決まります。SPFは測った値の平均の小数点以下を切り捨てて書き、50を超えても書けるのは「SPF50+」までです。PAは「PA+」〜「PA++++」の4段階で、PAを書くときはSPFもあわせて書きます。
  • 「ウォータープルーフ」と書きたいなら、水に浸ける前と後のSPFを測る試験をして、「UV耐水性★」か「UV耐水性★★」をSPFと並べて書きます。その試験の結果をもとに「汗に強い」とは書けません。
  • 化粧品OEMの会社一覧の9社のうち、作れる品目に日焼け止めを書いていたのは2社、SPF・PAを測定済みの処方を公式サイトに書いていたのは1社でした。最初の問い合わせで「SPFとPAの測定は、誰が行い、費用と期間はどのくらいですか」と聞いてください。

日焼け止めの容器と販売ページの表示の見本数字は仮

効き目の強さSPF50+ PA++++①
水への強さUV耐水性★★②
販売ページの文汗・水に強いウォータープルーフ③
効き目の文日やけを防ぐ。日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。④
  1. ①SPFもPAも、人の肌で測った結果で決まる。PAを書くなら、SPFも並べて書く
  2. ②80分水に浸ける試験で認められたときの表示。水に浸ける前に測ったSPFと並べて書く
  3. ③「ウォータープルーフ」と書くなら、SPFとUV耐水性の表示もあわせて書く。耐水性の試験の結果をもとに「汗に強い」とは書けない
  4. ④化粧品で言える56項目のうち、日焼け止めで使える言い方

SPFとPAの意味

SPFとPAは、防ぐ紫外線の種類が違います。紫外線のうち、UVBは肌が赤くなる日やけを起こし、UVAは短い時間で肌を黒くする反応を起こすので、日焼け止めでは2つを分けて表示します。

表示 防ぐ紫外線 書き方
SPF UVB(赤くなる) 数字。最大SPF50+
PA UVA(黒くなる) +の数で4段階

SPFは、数字が大きいほど、UVBを防ぐ効果が高いことを表します。ただし、SPFが50程度あれば、紫外線の強い場所でもUVBによる炎症を防げるという考えから、50より明らかに高い場合も、まとめて「SPF50+」と書きます。なので、「SPF70」のような表示はしません。

PAは、+の数が多いほどUVAを防ぐ効果が高いことを表し、PA+からPA++++までの4段階のどれかで書きます。

数字の決め方

SPFとPAは、原料の量から計算して決めるのではなく、できあがった日焼け止めを人の肌に塗り、紫外線を当てて測ります。日本化粧品工業会は、SPFはISO24444(2019年版と2022年の追補)、PAはISO24442(2022年版)という国際規格(ISO)の方法で測るよう、会員の会社に求めています。

SPF・PAが表示になるまで
人の肌に塗る試験に協力する人(被験者)の肌に
紫外線を当てる太陽の光をまねた専用の光源で
肌の反応を見るSPFは赤み、PAは黒さ
平均を出す小数点以下は切り捨て
表示を決めるSPF50+・PA++++など

SPFは、測った人ごとの値の平均を出し、小数点以下を切り捨てた整数で書きます。平均が50以上になったときは、結果のばらつきも見て、95%信頼区間(測った結果から「本当の値はこの幅に入る」と考える範囲)の下限が51.0以上ならSPF50+、届かなければSPF50と書きます。

仮の例:測ったSPFの平均が52.7、95%信頼区間の下限が50.4だった仮の数字
平均の小数点以下を切り捨てる
52
50以上なので、信頼区間の下限を見る
50.4
書ける表示SPF50

※ 下限が51.0に届かないので、平均が50を超えていても「SPF50+」とは書けません。

※ 数字は、決め方を説明するための仮のものです。

PAは、UVAを防ぐ効果をUVAPFという数値で測り、その平均の小数点以下を切り捨てた値で、次の4段階に分けます。

UVAPF 書ける表示
2以上4未満 PA+
4以上8未満 PA++
8以上16未満 PA+++
16以上 PA++++

UVAだけを防ぐ日焼け止めは無いという考えから、PAを書くときは、SPFもあわせて書く決まりです。なので、「PA++++」だけを書いた容器にはできません。

「ウォータープルーフ」と書くとき

水に濡れても効き目が続くことを表示するには、日本化粧品工業会の耐水性の基準に沿って試験をします。ISO18861という国際規格の方法で、水に浸ける前と後のSPFを測り、浸けたあともSPFが50%以上保たれていれば(正確には、平均値の90%信頼限界の下限で見ます)、耐水性があると判定されます。

水に浸ける時間 書ける表示
合計40分(20分×2回) UV耐水性★
合計80分(20分×4回) UV耐水性★★

★の代わりに☆を使ってもよく、★と☆で効き目の違いはありません。また、この表示が示すのは、水遊びや海水浴のように、肌の外から付く水に対しての強さです。

耐水性を書くときは、水に浸ける前に測ったSPFを並べて書きます。日本化粧品工業会の留意事項には、次のような書き方をしないよう書かれています。

「ウォータープルーフ」という言葉を販売ページなどで使うこと自体はできますが、そのときは、SPFとあわせて基準のUV耐水性の表示も書きます。一方で、汗に対する強さには共通の試験法も表示も無く、「汗に対して落ちにくい」のような表示は、各社が自分の判断と責任で書くものとされています。汗について書きたいなら、そう言える試験の資料があるかを、OEM先に先に確かめてください。

各社が自分の基準で書いた以前の耐水性の表示で出荷できたのは、2024年11月30日までです。OEM先の既存の処方に、以前の各社の基準で試した「ウォータープルーフ」の結果しか無いなら、ISO18861の方法で試験をし直すかを聞いてください。

紫外線吸収剤と散乱剤

日焼け止めに入れて紫外線を防ぐ成分は、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2種類に分かれます。OEM先の提案に「紫外線吸収剤不使用」とあれば、吸収剤を使わずに、散乱剤で紫外線を防ぐ処方ということです。

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤

紫外線吸収剤

  • 成分そのものが紫外線を吸収する
  • 例:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
  • 国の化粧品基準の別表第4にある成分しか使えず、成分ごとに上限がある

紫外線散乱剤

  • 主に粉で、肌の表面で紫外線を散らす
  • 例:酸化亜鉛、酸化チタン
  • 化粧品基準の別表第4には載っていない

吸収剤の上限は、できあがった化粧品100gの中に何gまで入れてよいかで決まっていて、化粧品の種類によって上限が変わる成分もあります。たとえば別表第4には、次のように書かれています。

化粧品基準の表では、表の空欄は、その種類の化粧品には入れてはいけないという意味です。3つ目の成分のように、唇など粘膜に使うことがある化粧品の欄が空いている吸収剤は、洗い流さない顔用の日焼け止めには入れられても、リップには入れられません。

使ってよい成分を国が表にしている決め方と、一覧に無い成分を使いたいときの扱いは、化粧品に使えない成分と、処方づくりの進め方で確かめられます。

言える効き目と薬用との境

化粧品の日焼け止めの容器や広告で言える効き目は、化粧品の56項目の中にある言い方です。薬用の日焼け止め(医薬部外品)なら、商品ごとに国の承認を受けた効き目を言えます。

言い方 化粧品 薬用
日やけを防ぐ 可 承認で可
日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ 可 承認で可
メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ 不可 承認で可
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。 不可 承認で可

化粧品でも「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」までは言えます。一方で、「メラニンの生成を抑え」のように、肌の中のメラニンに働くと受け取れる言い方は、薬用化粧品として承認を受けた場合だけです。

化粧品の日焼け止めと、薬用の日焼け止め

化粧品の日焼け止め

  • 市場に出す前に、都道府県に届け出る
  • 言える効き目は、56項目の範囲
  • 紫外線吸収剤は、化粧品基準の別表第4の成分だけ

薬用の日焼け止め(医薬部外品)

  • 商品ごとに、国の承認を受ける
  • 言える効き目は、承認された範囲
  • 容器に「医薬部外品」と書く

同じブランドで化粧品と薬用の両方を出すなら、広告の並べ方にも気をつけてください。日本化粧品工業会の広告のガイドラインでは、化粧品と薬用化粧品を同じ紙面や画面で広告するときは、共通する効き目にするか、それぞれの効き目をはっきり分けることが求められています。たとえば、化粧品の日焼け止めを、薬用の美白の品と同じ「シミ対策シリーズ」として並べると、化粧品の側にも美白の効き目があるように受け取られます。

薬用にするときの承認の期間と手数料は、薬用化粧品(医薬部外品)をOEMで作るときで確かめられます。言い換えの例や、使う前と後の写真の扱いは、化粧品の広告・販売ページで言えること/言えないことで確かめてください。

測定を誰に頼むか

SPFとPAの測定には、被験者と、太陽の光をまねた専用の光源(ソーラーシミュレータ)が要ります。なので、OEMで作るときは、OEM先が測定まで受け持つのか、外部の試験機関に頼むのか、その費用と期間が見積もりと日程に入っているのかを、最初に確かめておく必要があります。

化粧品OEMの会社一覧に載っている9社の公式サイトを、2026年10月18日に読み、日焼け止めについて書いてあることを数えました。

会社一覧の9社の公式サイトで「日焼け止め」を確かめた結果
会社一覧に掲載9社
作れる品目に日焼け止めを記載2社
SPF・PAの測定済み処方を記載1社

測定済みの処方を書いていた会社は、日焼け止めの開発にはふつう決まった試験が要るが、SPF・PAを測定済みの処方なら、費用を抑えて自分のブランドの品にできると書いています。ほかの会社も、品目の一覧に日焼け止めを書いていないからといって作れないとは限らないので、問い合わせで確かめれば候補に入れられます。

測定について、OEM先に聞くこと
  1. 1誰が測るか「SPFとPAの測定は、御社で行いますか。外部の試験機関に頼みますか」
  2. 2費用と期間「測定の費用と、結果が出るまでの期間は、見積もりと日程に入っていますか」
  3. 3耐水性「ウォータープルーフと書きたいです。ISO18861の耐水性の試験もお願いできますか」
  4. 4処方を変えたとき「測定済みの処方の香り・色・容器を変えても、測った結果のまま表示できますか」

測定は、できあがった処方の日焼け止めで行うので、処方が決まってからになります。測定の結果が出る前に、SPFやPAの数字を刷った容器や箱を発注しないでください。試作や資材の手配が流れのどこに入るかは、化粧品OEMの流れと期間で確かめられます。

また、測定の結果をまとめた資料が誰のものかは、処方と同じように、契約で決めておかないと決まりません。OEM先を変えたときにその資料を使えるかは、化粧品OEMの契約書で決めることを見ながら決めておけます。

今日やること

  1. 1書きたい表示を決めるSPFとPAの目標、耐水性を書くかどうか、言いたい効き目を1行ずつ書き出す
  2. 2候補を絞る化粧品OEMの会社一覧で、日焼け止めを作れる会社を選ぶ
  3. 3同じ文面で問い合わせる「SPF50+・PA++++・UV耐水性★★の日焼け止めを作りたいです。測定済みの処方はありますか。測定は誰が行い、費用と期間はどのくらいですか」と送る

出典