「化粧品基準」は、化粧品に入れてはいけない成分と、入れる量に上限のある成分を国(厚生労働省)が決めた告示です。化粧品は、商品ごとに国の承認を受けなくても、この基準に合っていれば、都道府県に届け出て売り出せます。
基準に書かれていない成分は、作る側が自分の責任で安全性を確かめて選べます。なので、自分のブランドに入れたい成分があるときは、「基準で禁止されていないか」「上限はないか」「防腐剤・紫外線吸収剤・色素の一覧に入っているか」の順に確かめれば、使えるかどうかが分かります。
結論
- 化粧品基準には、配合が禁止される30成分(ホルマリン・ホウ酸・水銀など)と、100g中の上限がある成分の表があります。医薬品の成分も原則禁止で、例外は国の通知にある33種類の承認化粧品成分です。
- 防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素は逆で、国の一覧にある成分しか使えません。一覧に無いものを使う道は、国への要請だけです。
- 全成分表示の名前は、日本化粧品工業会の表示名称リスト(16,908成分)から取ります。リストに無い成分は、名前を作ってもらうのに4〜6か月かかるので、入れたい成分は打ち合わせの最初に伝えてください。
防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素以外の成分
- 禁止する成分と、上限のある成分を表にしている(ネガティブリスト)
- 表に無い成分は、作る側の責任で安全性を確かめて選べる
- 医薬品の成分は原則禁止
防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素
- 使ってよい成分と上限を表にしている(ポジティブリスト)
- 表に無い成分は使えない
- 一覧に足すには、国へ要請して審議を受ける
化粧品基準の4つの表
化粧品基準は、本文の5つの項目と、4つの表(別表)でできています。本文は、原料そのものについて化粧品の原料は、不純物も含めて、使うことで保健衛生上の危険が起きるおそれのあるものであってはならないと決めたうえで、表ごとに禁止と上限を書いています。
| 表 | 何の表か | 載っている成分の例 |
|---|---|---|
| 別表第1 | 配合できない | ホウ酸・ホルマリン |
| 別表第2 | 上限がある | サリチル酸フェニル |
| 別表第3 | 使える防腐剤 | フェノキシエタノール |
| 別表第4 | 使える紫外線吸収剤 | パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル |
タール色素(赤色〇号のような合成の色素)は、表とは別に、本文で決まりが書かれています。その中身は、タール色素は、医薬品などに使えるタール色素を定めた省令の成分に限る。赤色219号と黄色204号は、毛髪と爪にだけ使う化粧品に限って配合できるというものです。
別表第2〜第4の表には、「100g中の最大配合量」という欄があります。これは、できあがった化粧品100gの中に、その成分を何gまで入れてよいかという上限です。たとえば、フェノキシエタノールは、すべての化粧品で100g中1.0gまでで、パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)とそのナトリウム塩は、合計で100g中1.0gまでです。
- 上限(100g中)
- フェノキシエタノールは、すべての化粧品で100g中1.0gまで
- 化粧水の量
- 120g
※ 上限は「100g中」で決まっているので、作る量に合わせて計算します。実際の量は、OEM先が処方で決めます。
※ 数字は、数え方を説明するための仮のものです。
本文には、グリセリンの決まりもあります。グリセリンは、100g中のジエチレングリコールが0.1g以下のものに限るので、安いグリセリンを自分で手配して持ち込むようなことは避けてください。原文は、厚生労働省の化粧品基準(PDF)で読めます。
配合が禁止される成分
別表第1には、30成分が並んでいます。たとえばホウ酸・ホルマリン・メチルアルコール・水銀及びその化合物は、どんな化粧品にも入れられません。
別表第1のほかに、本文で禁止されているのが「医薬品の成分」です。国のQ&Aでは、医薬品の成分とは主に、国の承認を受けた医薬品の有効成分を指すとされています。なので、薬の有効成分として知られている成分を「効きそうだから」と入れることはできません。
| 入れたい成分 | 化粧品に入れられるか |
|---|---|
| 別表第1の成分 | 入れられない |
| 医薬品の有効成分 | 原則、入れられない |
| 承認化粧品成分 | 上限の範囲で入れられる |
| 上のどれでもない成分 | 企業の責任で入れられる |
3行目の「承認化粧品成分」は、医薬品の成分のうち、昔から化粧品に使われてきたことを国が確かめ、上限つきで使えるとした成分です。平成19年の国の通知に33種類が載っていて、たとえばl-メントールは、洗い流す化粧品と洗い流さない化粧品で100g中7.0gまで、カフェインは、洗い流す化粧品と洗い流さない化粧品で100g中2.0gまでです。
ただし、この通知には、承認化粧品成分でも、安易に配合できるという意味ではなく、企業の責任で品質と安全性を確かめて配合すると書かれています。承認化粧品成分だからといって、OEM先が安全性の確認を省いてよいわけではありません。
上限のある成分と、防腐剤・紫外線吸収剤
別表第2〜第4の上限は、化粧品の種類で変わるものがあります。表の欄は、粘膜に使うことがない化粧品のうち洗い流すもの・洗い流さないもの・粘膜に使うことがある化粧品、の3つに分かれていて、空欄は配合できないこと、○印は上限がないことを表す。
| 化粧品の例 | 表の欄 |
|---|---|
| 洗顔料・シャンプー | 洗い流すもの |
| 化粧水・クリーム | 洗い流さないもの |
| 口紅・アイライナー | 粘膜に使うことがある |
同じ成分でも、欄によって上限が違います。たとえば紫外線吸収剤のパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルは、洗い流す化粧品と洗い流さない化粧品で100g中20gまで、粘膜に使うことがある化粧品で8.0gまでです。また別表第2には、化粧品の種類によっては使えない成分もあり、たとえばエアゾール剤にジルコニウムは配合できないとされています。日焼け止めを作るときに、紫外線吸収剤の上限とあわせて、SPFやPAの数字をどう測って書くかは、日焼け止めをOEMで作るときで確かめられます。
防腐剤と紫外線吸収剤は、別表第3と第4にある成分しか使えません。ただし国の通知では、精油やアルコールのように、製品の防腐を助けるだけのものは、基準でいう防腐剤に含まれないとされています。なので、「防腐剤無添加」をうたう化粧品でも、別の成分で微生物を抑える工夫が要り、その中身はOEM先に聞いて確かめてください。
自分で成分を指定したいときの確かめ方
入れたい成分が決まっているなら、OEM先に伝える前に、次の順で確かめておくと話が早く進みます。
5つの順に確かめても、最後に「安全か」を決めるのは作る側です。国の通知では、基準に違反しない成分は、企業の責任で安全性を確かめて選び、配合できるとされ、配合した成分と製品の安全性の資料は、製造(輸入販売)業者が集め、作り、保管するとされています。OEM先が製造販売元なら、この資料を集めて持つのはOEM先です。
化粧品OEMの会社一覧の9社のうち、希望する成分の配合や原料の持ち込みについて公式サイトに書いていたのは2社でした。1社は、希望した成分は化粧品なら原則できるとしたうえで、持ち込みの原料は化粧品の原料として規格と安全性・安定性が確かめられていて、それを証明する書類がそろっていれば持ち込めると書いています。もう1社は、原料の持ち込みはできるが、SDS(安全データシート)か安全性に関する情報を出すと書いています。
- 1成分の名前原料メーカーの商品名と、INCI名(成分の国際的な英語の名前)か表示名称
- 2原料の書類原料メーカーの規格書と、SDS(安全データシート。成分の危険性や扱い方を書いた書類)
- 3入れたい量と目的「保湿のために〇%」のように、何のためにどれくらい入れたいか
どんな目的で入れるかを伝えるのは、成分名を広告で目立たせるときに、配合した目的も書くことになるからです。成分名の書き方は、化粧品の広告・販売ページで言えること/言えないことの「言い換えの例」で確かめられます。
全成分表示の名前
化粧品の容器には、入れた成分を全部書きます(全成分表示)。国の通知では、成分の名前は日本語で書き、日本化粧品工業連合会(今の日本化粧品工業会)の「化粧品の成分表示名称リスト」などを使うとされ、名前の並べ方は分量の多い順で、1%以下の成分と着色剤は順番を問いません。
容器の裏の全成分表示の見本数字は仮
| 全成分 | 水、グリセリン、BG、〇〇エキス、…… | ① |
| (続き) | ……、フェノキシエタノール、香料、赤201 | ② |
- ①分量の多い順に書く。先頭が「水」なら、水が一番多い
- ②1%以下の成分と着色剤は順番を問わない。香りづけに使う香料は、成分名を「香料」と書いてよい