OEMは、自分のブランドの商品を、ほかの会社に作ってもらうことです。ODMは、作る会社が商品の中身の設計まで受け持つ頼み方です。
どちらも、できた化粧品は自分のブランド名で売ります。違うのは、中身の配合(処方)を誰が考えるかです。
OEMとODMは、2社の説明でどう違う?
化粧品を作る2社の公式サイトの説明を並べます。並び順に意味はなく、会社を比べる表ではありません。
日本色材工業研究所は、OEMは主に生産だけを受け持ち、商品の企画と製品の開発は頼む側が行うと書いています。そして、OEMは、頼む側が開発した処方や設計のとおりに作るとしています。
一方でODMは、ODMは、アイデアの段階から設計・開発・製造・納品までを一貫して行うと説明しています。さらに、開発と仕様の設計はODMメーカーが主導し、頼む側のブランド名で売られるとしています。
カリテスラボも、製造の工程だけを請け負うOEMと違い、ODMは商品開発から製造まで一貫して請け負うと書いています。ただし同じページで、OEMメーカーでも、開発や設計から関わる会社があるとも書いています。
OEM
- 処方と設計は頼む側が用意する
- 作る会社は、主に生産を受け持つ
- できた商品は、頼む側のブランドで売る
ODM
- 処方と設計は作る会社が主導する
- アイデアから納品まで一貫して受け持つ
- できた商品は、頼む側のブランドで売る
つまり、言葉の上の違いは「処方を誰が考えるか」です。ただ、OEMを名乗る会社でも処方から受け持つことがあります。10月に公式サイトを読んだ9社のうち、処方の開発から頼めると書いていた会社は6社でした。
なので、「OEMですか、ODMですか」と聞くより、作業ごとに誰が受け持つかを聞くほうが確実です。
企画・処方・容器・届出は、誰が受け持つ?
2社が公式サイトに載せている流れを、4つの作業に分けました。日本色材はODMの流れ、カリテスラボはOEMを頼む流れとして書いています。
| 作業 | 日本色材(ODMの流れ) | カリテスラボ(OEMの流れ) |
|---|---|---|
| 企画 | 初回の打ち合わせで確認 | イメージをまとめて相談 |
| 処方 | 作る会社が試作して改良 | 処方を研究開発する |
| 容器 | 頼めば候補を提案 | 使いやすさも見るよう案内 |
| 届出 | 表示を確かめて申請 | 製品化のあと申請 |
企画は、どちらでも自分が決める
日本色材は、初回の打ち合わせで、作りたい商品やブランドのイメージ、参考にする商品、容量などを確かめると書いています。ODMで任せる場合でも、どんな商品にしたいかは頼む側が伝えます。
打ち合わせの前に、売る相手、使う場面、容量、売りたい値段を1枚にまとめてください。参考にしたい市販品があれば、それも持っていきます。
処方は、持っていなければ作る会社に頼む
処方とは、どの原料をどれだけ入れるかの配合です。自分で処方を持ち込めるなら、その処方で作ってもらう形(OEM)で頼めます。持ち込みを受けるかは、会社ごとに聞いてください。
処方を持っていないなら、処方から作れる会社を選びます。カリテスラボはOEMの流れの中に、処方を研究開発して、仕様も決める段階を入れています。呼び名がOEMでも、この段階があれば処方から頼めます。作る会社がもとから持つ処方(既存処方)を土台にするか、中身から作るかの比べ方は、化粧品OEMの既存処方とオリジナル処方の選び方で確かめられます。
容器は、自分で用意するか頼むかを選ぶ
日本色材は、容器の調達も頼むなら、希望の条件を聞き取り、容器のサンプルを用意して提案すると書いています。つまり、容器の手配は頼むかどうかを選べる作業です。
気に入った容器が決まっているなら、自分で用意して、中身との相性だけ確かめてもらいます。決まっていないなら、作る会社に候補を出してもらいます。容器と箱の手配の分け方は、化粧品OEMの容器・箱・ラベルの選び方で確かめられます。
届出は、製造販売元が出す
化粧品を市場に出すには、品目ごとに、前もって都道府県知事へ製造販売届を出す決まりです。届け出るのは製造販売元(化粧品を市場に出す責任を持つ会社)です。製造販売業者は、化粧品を品目ごとに届け出ると法律で決まっています。
日本色材は、各資材の表示内容は、関係する法律を確かめて申請を行うと書いています。カリテスラボは、製品にすると決まってから、薬事の申請を行うとしています。どちらの流れでも、届出は製品の仕様が決まったあとの作業です。
OEMかODMかで、届出を出す会社は決まりません。製造販売元をどちらが引き受けるかで決まります。
一式を引き受けると書く会社は何社?
10月に公式サイトを読んだ9社を、作業ごとに数えました。
| 公式サイトに書いてあること | 会社の数 |
|---|---|
| 処方の開発から頼める | 6社 |
| 薬機法の届出・申請を代わりに行う | 5社 |
| 容器やパッケージを提案する | 4社 |
| 上の3つをすべて書いている | 3社 |
処方・届出・容器の3つをすべて書いていたのは、アクネスラボ、オリオン粧品工業、オキナの3社です。並び順に意味はありません。
3つがそろわない会社も、書いていない作業を断るとは限りません。たとえば処方だけ書く会社には、「容器の手配と届出もお願いできますか」と聞いてください。候補は化粧品OEMの会社一覧で品目と最小ロットから探せます。日本色材工業研究所の掲載内容は、日本色材工業研究所の会社ページで見られます。
自分の場合は、どちらで頼む?
判断の分かれ目は、処方を自分で持っているかどうかです。次の例で確かめてください。
- 企画をまとめる
- 自分(売る相手・容量・値段を1枚に)
- 処方と試作
- 作る会社(仮に修正を2回)
- 容器の候補
- 作る会社(自分では用意しない)
- 発注から納品
- 発注書の提出からおおよそ3か月(資材の納期で変わる)(日本色材の目安)
※ サロンや修正の回数は、説明のための仮の例です
※ 処方の修正にかかる月数は、会社に聞いてください
反対に、前の工場で作った処方の資料を持っているなら、その処方で作ってもらう形(OEM)を選べます。ただし、その処方が自分のものかを先に確かめます。前の工場の処方なら、資料を持っていても使えないことがあるからです。
問い合わせから納品までの段階と期間は、化粧品OEMの流れと納品までの期間で確かめられます。
処方の持ち主と製造販売元は、契約で確かめる
OEMかODMかの呼び名で、処方の持ち主や製造販売元が決まるわけではありません。後で困るのは、処方の持ち主と製造販売元を決めずに進めたときです。
処方の持ち主
ODMでは、開発と仕様の設計はODMメーカーが主導し、頼む側のブランド名で売られるとされています。作る会社がもとから持つ処方を使うなら、何も決めなければその処方は作る会社のものと考えてください。国の契約書ひな形でも、契約の前からそれぞれが持っていた秘密の情報や知的財産権は、持っていた側のものとされています。
処方を引き取りたいなら、最初の見積もりで伝えます。国の指針には、権利を譲る場合と譲らない場合の2通りの見積書を出し、権利の対価をはっきりさせている会社の例が載っています。処方でも「引き取る場合」と「引き取らない場合」の2通りで見積もりを頼むと比べやすくなります。
製造販売元
カリテスラボは、OEMメーカーは基本的に、化粧品の製造と販売に必要な許可を持っていると書いています。ただし、許可を持つことと、自分の商品の製造販売元を引き受けることは別の話です。
10月に読んだ9社のうち、化粧品製造販売業の許可を持つと書いていたのは6社でした。一方、製造販売元を引き受けると明記していたのは0社でした。
容器には、製造販売業者の名前と住所を書く決まりがあります。なので、どちらが製造販売元になるかで、容器の表示も届出を出す会社も変わります。決め方は化粧品OEMに必要な許可と製造販売元の決め方で確かめてください。
処方・製造販売元の移し方・余った資材・回収の費用を契約書にどう書くかは、化粧品OEMの契約書で決めることで項目ごとに確かめられます。
次にやること
- 1企画を1枚にまとめる売る相手・使う場面・容量・売りたい値段と、処方を持っているかを書く
- 2作業ごとに聞く候補の会社に「処方の開発、容器の手配、届出のうち、どこまでお願いできますか。製造販売元は御社がなっていただけますか」と送る
- 3処方の見積もりを2通り頼む「処方を引き取る場合と、引き取らない場合の2通りで見積もってください」と頼み、契約書の案も一緒にもらう