歯磨き粉には、2つの種類があります。歯をみがいて汚れを落とす「化粧品の歯みがき」と、歯ぐきの病気の予防などをうたう「薬用歯みがき」です。薬用歯みがきは、法律では医薬部外品の「薬用歯みがき類」に当たります。
化粧品と薬用で、何が違う?
言える効き目と、売り出す前の手続きが違います。
| 化粧品の歯みがき | 薬用歯みがき | |
|---|---|---|
| 言える効き目 | 56項目の範囲 | 承認基準の範囲 |
| 承認 | 要らない | 知事の承認が要る |
| 出す前の手続き | 品目ごとの届出 | 品目ごとの承認 |
化粧品は、品目ごとに、前もって都道府県知事へ製造販売届を出すだけで売り出せます。薬用は、品目ごとに承認を受けてからでないと売れません。
化粧品の歯磨き粉で、何と言える?
化粧品で言える効き目は、国の通知で56項目に決まっています。そのうち歯みがきに使えるのは、次の7つです。
- ムシ歯を防ぐ
- 歯を白くする
- 歯垢を除去する
- 口中を浄化する
- 口臭を防ぐ
- 歯のやにを取る
- 歯石の沈着を防ぐ
ただし、口臭と口中の2つ以外は、ブラッシングして使う歯みがきに限られます。福岡県の一覧は、( )の中は効き目ではなく、使い方による限定としています。だから、口をすすぐだけの品では「歯を白くする」とは言えません。
ホワイトニングを売りにするなら、まず「歯を白くする」で足りるかを考えます。足りるなら、化粧品のままで作れます。三重県は、決められた範囲に無い効き目は、化粧品では言えないとしています。言い方の決まりは、化粧品の広告で言える効き目と言い換え方で確かめられます。
薬用で言える効き目は?
国の決まりでは、薬用歯みがき類の承認は、厚生労働省の「薬用歯みがき類製造販売承認基準」(2021年6月28日の通知)で扱うことになっています。基準は、歯みがきとしての効き目をうたう、口の中に使う外用剤には、成分の種類にかかわらずこの基準が当てはまるとしています。適用されるのは、2021年7月1日以降に承認を申請する品目です。
ブラッシングして使う品で言える効き目は、次のとおりです。
歯周炎(歯槽膿漏)の予防・歯肉炎の予防・歯石の形成及び沈着を防ぐ・むし歯の発生及び進行の予防・口臭又はその発生の防止・タバコのやに除去・歯がしみるのを防ぐ・歯を白くする・口中を浄化する・口中を爽快にする・むし歯を防ぐ
化粧品の7項目と比べると、歯周炎(歯槽膿漏)や歯肉炎の予防、「歯がしみるのを防ぐ」が増えます。むし歯は、言い方を1つ選びます。基準は、「むし歯の発生及び進行の予防」と「むし歯を防ぐ」は、どちらか一方だけを選ぶとしています。
口をすすぐだけの洗口液で言えるのは、口臭又はその発生の防止・口中を浄化する・口中を爽快にするだけです。
基準は、形と成分も決めています。
- 形:ブラッシングして使うものはペースト状・液状・液体・粉末状・固形・潤製など、すすいでから磨くものと洗口だけのものは液体とする
- 成分:ブラッシングして使うものに入れられる有効成分の種類・規格・量は、基準の別表1のとおりとする
- フッ素:フッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムは、別表1の有効成分に、配合濃度の幅つきで載っている
つまり、薬用は決められた成分と量の中で作ります。基準にない成分で効き目をうたうのは、難しくなります。
薬用にすると、何が増える?
承認の手続きと、手数料と、見本の提出が増えます。薬用歯みがき類は、都道府県知事が承認する品目です。PMDA(医薬品などの審査をする国の機関)は、薬用歯みがき類・浴用剤・染毛剤など決められた種類は、都道府県知事が承認するとしています。
東京都の例で見ます。東京都は、告示の範囲内の医薬部外品は、都道府県知事が承認するとしています。都の案内でも、薬用歯みがき類は、都の承認申請の手順(知事承認)の対象に入っていることが分かります。
| 増えること | 東京都の例 |
|---|---|
| 承認の手数料 | 51,100円 |
| 製品の見本 | 50g以上 |
| 窓口 | 都庁の薬務課 |
見本は、申請のときに、ラベルを貼った製品の見本(検体)をあわせて出すよう求められます。窓口は、都庁第一本庁舎31階の保健医療局 薬務課 承認審査担当(平日の午前9時から午前11時30分)です。
基準から外れる処方にも、手間が増えます。東京都は、承認基準の範囲を超えるなら、知事承認の品目でも厚生労働省との協議が要るとしています。東京都は、都知事が承認する医薬部外品の申請書を作りやすくするチェックリストを、薬用歯みがき類の分も用意しているので、申請書づくりに使えます。
承認のあとに中身を変えるときも、注意します。東京都は、販売名・有効成分(量を含む)・剤型を変えると、新しい申請になるとしています。名前や形を変えたくなると、申請からやり直しです。販売名と形は、申請の前に決めきってください。
承認を取る会社の許可も変わります。三重県は、薬用化粧品は医薬部外品なので、化粧品の許可では扱えないとしています。承認を誰の名前で取るかと、期間の見方は、薬用化粧品OEMの承認と費用・期間の確かめ方にあります。
どこに頼める?
化粧品OEMの会社一覧で歯磨き粉や歯みがきを作れると書く会社は6社でした。このうち、医薬部外品の製造販売業の許可も書く会社は2社です。並び順に意味はありません。
- B.COCORO:医薬部外品として、薬用歯磨き粉を作れると書いています
- ピュール:医薬部外品の製造販売業の許可を書き、目安として3,000ロットが最低としています
- SUNAO製薬:練り歯磨き・ジェル歯磨き・液体歯磨き・歯の美容液・マウススプレーなどを作れると書いています
- オキナ:練り歯磨剤・液体歯磨剤・洗口剤・マウスウォッシュ・マウススプレーなどを挙げ、小ロットから大量生産までとしています
- アルデバラン:歯みがきなど、雑貨・日用品のOEMにも応じると書き、最小ロットは500個から(仕様で変わる)としています
- プラセス製薬:作れる品に歯磨き粉と洗口液を挙げています
薬用で作りたいなら、医薬部外品の許可を書く会社から当たります。許可を書いていない会社も、持っていないとは限りません。問い合わせで確かめてください。許可と製造販売元の考え方は、化粧品OEMに必要な許可と製造販売元の決め方にあります。
何本から、いくらで頼める?
本数・期間・費用を公表しているのは、SUNAO製薬です。どれも化粧品の歯磨き粉としての目安で、薬用かどうかは書かれていません。
| 形 | 最低数 | 最短の納期 |
|---|---|---|
| 粉末 | 1,000本から | 最短2か月から |
| ジェル・ペースト | 5,000本から | 最短4か月から |
費用の目安は、粉末が80万円から、ジェル・ペーストが190万円からです。同社は、容器の費用はすべて別としています。B.COCOROは小ロットから作れる(数の記載はない)としています。
- 粉末
- 80万円 ÷ 1,000本
- ジェル・ペースト
- 190万円 ÷ 5,000本
※ 容器の費用は別です。チューブか、粉末用の容器かで変わります。
1本あたりはジェルのほうが安くなります。ただし、最初に払う額と、作る本数はジェルのほうが大きくなります。
自分の本数で、どれを選ぶ?
- 粉末の最低数
- 1,000本
- ジェル・ペーストの最低数
- 5,000本
- 仮の売れる数
- 月70本
※ 月70本は仮の数です。売り切るまで品質が保てるかを、OEM先に聞いてください。
1つの医院で売るなら、粉末か、最低数がもっと少ない会社が合います。5,000本からのジェルは、複数の医院や通販で売る販路があるときの候補です。
化粧品で作る
- 「歯を白くする」「口臭を防ぐ」で選んでもらう
- 承認を待たずに、早く出したい
- 香り・味・使い心地でも選んでもらう
薬用にする
- 歯周炎の予防や、しみるのを防ぐで選んでもらう
- 承認の手続きと、見本の提出を待てる
- 医薬部外品の許可を持つ会社に頼める
オーガニックとうたうときの表示の決まりは、オーガニック化粧品OEMの表示と認証の選び方で確かめられます。マウススプレーのように吹き付ける品を考えているなら、エアゾールとポンプ式ミストの選び方も読んでください。
次にやること
- 1言いたい効き目を1行で書く歯の7項目で足りるなら化粧品、歯周炎の予防やしみるのを防ぐと言うなら薬用と決める
- 2候補を3社選ぶ化粧品OEMの会社一覧で歯磨き粉を作れる会社から、薬用なら医薬部外品の許可を書く会社を入れて選ぶ
- 3同じ文面で聞く「歯磨き粉を化粧品(または薬用)で、粉末(またはジェル)で◯本作りたい。最低数・容器代・期間と、薬用なら承認を御社の名前で取れるかを教えてください」と送る