化粧品の「製造」は、中身を作ることだけではありません。三重県は、包装・表示・保管も、化粧品の「製造」に含まれると説明しています。そのため、輸入品に日本語のラベルを貼るだけでも、製造業の許可が要ります。
製造業の許可には、区分が2つあります。どちらを取るかは、工場(製造所)でする作業で決まります。
区分は何で分かれる?
容器に中身を詰めるかどうかで分かれます。
法律の決まり(薬機法の施行規則)では、「一般区分」は化粧品の製造工程の全部か一部を行うものです。「包装・表示・保管区分」は化粧品の製造工程のうち、包装・表示・保管だけを行うものです。
| する作業 | 要る区分 |
|---|---|
| 中身を作る・混ぜる | 一般 |
| 容器に詰める・小分け | 一般 |
| ラベルを貼る | 包装・表示・保管 |
| 箱に入れる | 包装・表示・保管 |
| 出荷前の保管 | 包装・表示・保管 |
和歌山県は、包装・表示・保管区分を外箱に入れる・表示のラベルを貼る・製品を保管する作業だけができる区分と書いています。ここでいう包装は、箱に入れるなどの「二次包装」です。和歌山県は、容器に中身を詰める作業(一次包装)をするなら、一般区分の許可が要るとしています。京都府も、容器に中身を詰める作業(一次包装)は、一般区分の許可が要るとしています。
一般区分は、工程の全部か一部を行う区分です。なので、一般区分の工場では、詰める作業に加えて、ラベル貼りや保管もできます。
ラベル貼りだけなら、どちらの区分?
包装・表示・保管区分です。鹿児島県は、輸入した製品の表示を日本語の表示に貼り替える作業も「表示」に含まれると書いています。
神奈川県は、場面ごとに要る許可を示しています。自社は輸入だけをして(保管を伴う場合)、製造販売業の許可を持つ他社の製品として出荷するなら、製造業の包装・表示・保管区分が要る、という整理です。一方で、自社で作って自社の製品として出すなら、製造販売業の許可と製造業(一般)の許可が要るとしています。
ただし、製造業の許可だけでは売れません。神奈川県は、製造業の許可を製品の製造(包装・表示・出荷判定前の保管を含む)をする許可で、この許可だけでは製品を市場へ出せないと説明しています。自社の商品として売るなら、化粧品製造販売業の許可も要ります。輸入して売るときの許可と届の順番は、化粧品の輸入販売の手続きと日本語表示の分担にあります。
保管だけなら「登録」で済む?
済む場合と、済まない場合があります。保管だけの所には、許可より軽い「登録」があります。ただし東京都は、「登録」で済むのは、保管だけをする製造所で、決められた条件をすべて満たすときだけとしています。
東京都の条件のうち、迷いやすいのは次の2つです。
- 包装・表示などの作業や試験検査をする所も、登録の対象にならない
- 市場に出す最終製品を保管する所は、登録の対象にならない
つまり、輸入品を倉庫に置き、そこから店や客へ出荷するなら、登録では足りません。最終製品の保管になるからです。この場合は、包装・表示・保管区分の許可を取ります。東京都の登録の手数料は29,600円です。
手数料は、都道府県でいくら違う?
申請先は、工場のある都道府県です。5つの都県の公式ページの額は、次のとおりです。
| 都県 | 一般 | 包装・表示・保管 |
|---|---|---|
| 東京都 | 39,000円 | 32,800円 |
| 神奈川県 | 52,200円 | 39,700円 |
| 岡山県 | 44,500円 | 37,300円 |
| 広島県 | 39,900円 | 33,700円 |
| 鹿児島県 | 43,100円 | 31,900円 |
神奈川県の額は、令和8年10月1日に改められたあとの額です。ほかの県も改められることがあるので、申請の前に県のページで確かめてください。
- 一般区分
- 52,200円
- 包装・表示・保管区分
- 39,700円
※ 申請の手数料だけの差です。作業場をつくる費用や、責任技術者の人件費は入っていません。
同じ計算で、東京都の差は6,200円です。区分を決めるときは、手数料より、次の設備の差を見てください。神奈川県の場合、あとで一般区分に変える・足す申請の手数料は44,700円です。県ごとの窓口と申請の流れは、化粧品製造業許可を神奈川県で取る費用と窓口にあります。
設備の基準は、どう違う?
一般区分は、中身がむき出しになる作業場の基準が加わります。包装・表示・保管区分は、保管と広さと検査の基準が中心です。
基準は、国の「薬局等構造設備規則」にあります。包装・表示・保管区分は、包装・表示・保管区分の製造所には、医薬品の包装等区分と同じ基準(第10条)を当てはめると決まっています。
一般区分(第13条)
- 作業所は換気がよく、清潔である
- 住む場所や不潔な場所から、はっきり分かれている
- ほこり・虫・ねずみを防ぐ造りか設備がある
- 床は、板張りやコンクリートなど
包装・表示・保管区分(第10条を当てはめる)
- 製品と資材を衛生的かつ安全に保管する造りと設備がある
- 作業に差し支えない広さがある
- 製品と資材の試験検査の設備と器具がある(自社のほかの設備や外の検査機関を使い、差し支えないと認められれば、この限りでない)
一般区分では、作業所を住む場所からはっきり分けることが基準です。住まいの一部を使うつもりなら、先に薬務課に間取りを見せてください。包装・表示・保管区分なら、清潔に保管できる部屋と、作業できる広さが中心です。検査は、外の検査機関を使う道もあります。
どちらの区分でも要るものは?
責任技術者と、工場ごとの許可と、5年ごとの更新です。
- 責任技術者:製造所ごとに、製造を現場で管理する責任技術者を置く決まりです。なれるのは、薬剤師、薬学か化学の専門課程を終えた人、または薬学か化学の科目を学んで化粧品などの製造の仕事に3年以上ついた人などです。
- 工場ごとの許可:製造業の許可は工場(製造所)ごとです。工場が2か所なら、許可も2つです。
- 有効期間:製造販売業と製造業の許可の有効期間は、許可日から5年間です。
ラベル貼りだけの工場でも、責任技術者は置きます。なれる人が社内にいないなら、そこで止まります。
自分の作業なら、どちらの区分?
作業を1つずつ書き出し、詰める作業があるかで決めます。次は、例です。
包装・表示・保管区分で足りる例
- 仮に、韓国から輸入した化粧水に、日本語のラベルを貼って出荷する
- 仮に、完成品を化粧箱に入れ、説明書を入れて出荷する
- 仮に、輸入品を倉庫に置き、検品してから店へ出荷する
一般区分が要る例
- 仮に、業務用のボトルから、小瓶に詰め替えて売る
- 仮に、届いた中身(バルク)を、自社の容器に詰める
- 仮に、2つの化粧品を混ぜて、1つの商品にする
小分けや詰め替えは、少しの量でも一般区分です。店でしがちな作業の線は、化粧品の小分け・詰め替えに許可は必要?で確かめられます。
自社で取らずに、許可を持つ会社に任せる道もあります。化粧品OEMの会社一覧のうち、包装・表示・保管区分の製造業の許可を公式サイトに書く会社は2社でした。並び順に意味はありません。
- B.COCORO(福岡県):化粧品製造販売業の許可と、包装・表示・保管区分の製造業の許可を持つと公式サイトに書いている
- ミズ・バラエティー(静岡県):化粧品製造業の許可(一般と、包装・表示・保管区分)を持つと公式サイトに書いている
どちらも、他社の輸入品のラベル貼りを受けるとまでは書いていません。受けるかどうかと費用は、問い合わせで聞いてください。製造販売元をOEM先に任せるかどうかは、化粧品OEMに必要な許可と製造販売元の決め方で決められます。
次にやること
- 1作業を書き出す貼る・箱に入れる・保管する・詰める・混ぜるのうち、自社でする作業に印を付け、詰める・混ぜるがあれば一般区分にする
- 2県の薬務課に相談する工場を置く都道府県の薬務課に「輸入品のラベル貼りと保管だけを自社でしたい。包装・表示・保管区分で足りるか」と、間取り図を持って聞く
- 3任せる場合の見積もりを取る包装・表示・保管区分の許可を持つ会社に「1回あたりの数」と「1個あたりのラベル貼りと保管の費用」を聞く